店員がレジで決済し、低所得者層、スマホもクレカもないカスタマーに対応することで、ようやく許可が下りたとのこと。この種の「ダイバーシティ」に絡む議論は、音声認識AIのアレクサに関してもされている。すなわち、なぜ女性の声が、言いつけに無条件で従い、実行できないとあやまるのか、ということが問題視されているというのだ。
新たなフロンティアを開拓しようとする場合、企業は、こういった「政治的な正しさ」の議論には、とかくさらされる運命なのかもしれない。逆に、そういった議論にさらされない企業は、真実にはイノベーティブではないのかもしれないとさえ、考えさせられた。
ジェフ・ベゾスが「アイスベアの骨格標本」に秘めた思い
さて、アマゾン・ゴーから歩いて数分のビルの玄関横に、大きな動物の骨格標本が飾られている。とくに近年、地球温暖化による影響が懸念される絶滅危惧種で、かつてアマゾンのマーケットプレイスに出展された「アイスベア」の骨格標本だ。
つい先日、企業の寿命30年説を肯定し、アマゾンだってその例外ではないという発言をして物議を醸したジェフ・ベゾスだが、アイスベアのようにアマゾンが滅ばぬよう、独自で、変化に強い企業体質を作らないといけないという教訓を込めて購入、ここに飾ったということだ。
ジェフ・ベゾスの「絶滅してなるものか」の思いがこもる「アイスベアの骨格標本」
そのガラスには「#Bepeculiar(独自であれ)」の文字が。無二の文化を持つことこそが生存には不可欠、というベゾスの思いだろうか。企業がアイスベアのように滅びないためには、常に変化に対応したイノベーティブな体質を維持しなければならない、という自戒の念が感じられる。
シアトルダウンタウンを離れ、今度はベルビュースクエア内にある、アマゾンのリアル店舗展開の先駆け「アマゾン・ブックス」へ。書籍のみならず、アマゾンのデバイス群(キンドルやアマゾン エコー) などをとり揃える店舗だ。
ここがユニークなのは、なんと言っても、置かれているのが「アマゾンのサイト上でカスタマーレビューの星3.5以上がついた書籍」だけという点だ。まさにアマゾンのカスタマーレビューへの信頼が生む商品ラインナップで、「役に立たない本」を手にとってしまう確率が低いことでも支持されているようだ。同時に、出版社や編集者にとっては非常に「厳しい」書店ともいえるかもしれない。
ベルビュースクエア内の「アマゾン・ブックス」。書籍のみならず、キンドル、エコーなどのデバイス類も充実している
モールの中の店舗であるためか非常に来店者数が多く、活気に溢れた店舗だった。以前訪問したアマゾン・ブックス1号店に比べるとデバイス類のラインナップがかなり充実しているのが特徴的だった。1号店には今回訪問していないが、顧客情報をベースに、商品ラインナップも少しずつ調整しているのだろう。ちなみに店舗では、アマゾンで購入した商品の返品受付も行っていて、私も、オンライン決済をした商品の返品をする何人ものカスタマーを見かけた。