中国人民日報がアップルを非難、「香港の破壊活動を支援」

アップルストアの外の道路を封鎖している、民主化を求める抗議者(10月1日、香港)(Photo by Chris McGrath/Getty Images)

アップルが香港でデモ活動を行う人々が使用するアプリ「HKMap Live」を、同社のアップストアに掲載したことを、中国の政府系メディアが強く非難した。

10月9日、中国共産党機関紙の人民日報は、アップルが「香港の暴徒らの暴力行為を助長している」と述べた。

開発者はこのアプリの目的を「抗議活動の場所を香港市民に知らせ、人々がトラブルに巻き込まれることを防ぐもの」としている。アップルは当初、HKMap Liveの配信を拒否していた。しかし、その後、再考した結果、配信を認めていた。

人民日報はアップルを次のように非難している。「アップルはビジネスと政治に関わる問題を混同している。彼らは自社の論理性を欠いた判断が、どのような結果をもたらすかを考えるべきだ」

HKMap Liveが最初にアップルに提出されたのは9月21日だったが、同社はその後、2度に渡りこのアプリをリジェクト(配信拒否)した。配信拒否の理由をアップルは、「非合法な活動を助長し、警察の取締りを逃れる機会を提供しているため」としていた。

しかし、開発者側は「我々はアプリ上でいかなる行為も助長していない。このアプリは人々の安全を守るためにある」と主張している。

当然ながら中国はこの主張に反対している。人民日報は「この開発者は悪意をもってアプリを公開している。アップルはこのアプリを承認し、暴徒らを助けている」と述べ、香港の抗議運動の参加者が、暴力行為に走っていると非難した。

さらに「アップルは意図的にこのアプリを配信し、暴徒らの共犯者になるつもりなのか?」と挑発的な問いかけをアップルに投げかけている。

アップルが中国で厳しい立場に追い込まれていることは明らかだ。世界最大のスマホ市場である中国で、アップルは現地メーカーに敗退し、10%もシェアを減らした。さらに、米国の対中関税引き上げ措置を受け、中国の主要工場を外部に移転することをやむなく決断した。

アップルは理不尽ともいえる非難を浴びても、同社に年間500億ドルもの売上をもたらす中国に逆らうことは難しい。一方で、米国政府から自国を代表するテック企業に禁輸措置を科された中国は、米国に対する反発をさらに強めている。

「今回のアプリの問題は氷山の一角にすぎない」と人民日報は指摘した。「アップルが香港で運営するアップルミュージックでは、香港の独立を促す楽曲の配信が許されている。このような楽曲は、以前はアップルのサービスから排除されていたが、彼らはそれを再び認めるようになった」と人民日報は続けた。

編集=上田裕資

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