ドローンが活躍するのはアマゾンの配達サービスだけでは無い。インディペンデントな写真家や映像作家ら向けに、ドローンなどの高額ガジェットを貸し出すサービスがKitSplitだ。
ニューヨークを拠点とするスタートアップ企業、KitSplitは言わば、Airbnbのガジェット版のようなサービスを提供するもの。共同創業者のクリスティーナ・ビューデリスとリスベス・カウフマンは「クリエーターたちのためのマーケットプレイスを作りたかった」と述べている。
「以前から、個人同士が高価な機材を貸し借りし合うコミュニティは存在した。私たちはそれをもっと安全な仕組みで、しかもよりスケール可能なビジネスにしようと考えたんです」とカウフマンは言う。
ニューヨーカー誌の映像プロデューサーだったビューデリスは、大学院進学のためにニューヨーカーを退社。フリーの仕事でビデオ機器が必要になった際、KitSplit創業のアイデアを思いついた。そして2014年、ニューヨーク大学レナード・N・スターン・スクールのフェローシッププログラムを通してカウフマンと出会った。二人はこのビジネスを通じ、全米のインディペンデントなクリエイターや、小規模な企業で制作にあたる人々を支援できると確信した。
カウフマンの家族もインディーズ映画制作に携わっており、彼女もまた、高価な撮影機材を借りる際の苦労を身にしみて分かっていた。
「このサービスを通じ、クリエイターたちに最先端のガジェットを使ってもらえるのがすごく楽しみ」だという。
ユーザーはサイト上で、オキュラスリフトやグーグルグラス、ドローン、REDカメラ(超高画質のデジタルシネマカメラ)など様々な機材を探すことが可能。最先端の機材に限らず、今では入手困難な古い機材、ポラロイドスピリット600のオリジナルカメラなども用意されている。他にも照明機材やレンズ、デジタル一眼レフカメラなども取り揃え、撮影用RV車は一日250ドルで借りられる。
ユーザーはKitSplitでアカウントを作成。自分が持っている機材や、借りたい機材をリスト化する。実際に貸し借りを行う際には、ユーザー間で契約を行う。レンタル期間や価格は利用者に委ねられており、双方が納得する形で進めればよい。
現状ではKitSplitはベータ版の状態。招待を受け、審査に通過した人のみ利用できる状態だ。しかし、創業者の二人は数ヶ月後にはサービスの正式ローンチを目指している。
レンタルに際しての全てのやりとりはサイト上で完了する。決済システムにはウーバーやAirbnb、Stubhub(チケット売買サイト)などでも採用されているBraintreeを利用している。
これまで盗難や、補償のトラブルと無縁でいられたのは、KitSplitがユーザーを厳正に審査し、正しい契約の締結を支援してきた故だとビューデリスは考えている。ユーザー間で法的な問題が持ち上がっても、KitSplitはスムーズな解決策を提案できると彼女は言う。
現状では同サービスは主にニューヨーク都市部で事業展開しているが、ユーザーらは全米の知人をサイトに招待しているという。今後は利用可能な地域も広げ、サービス内容もさらに拡充していく予定とのこと。
「このサービスを通じ、熱意はあるけどお金は無いクリエイターたちを支援していきたい」とカウフマンは語っている。