採用面接を想定したケースでは、面接時に応募者がカミングアウトしたところ、面接官が良かれと思ってセクシュアリティに関して質問を続け、本来必要な仕事に関する話ができなかったというケースを紹介している。
eラーニングのケーススタディでは、「例えば『ゼクシィ』や『じゃらん』のカップル向けサービスやキャンペーンを想定したケースでは、『カップルの想定が男女だけではないですか?』と商品開発の段階で考えて欲しいというメッセージを入れています」とダイバーシティ推進部の根本さんは話す。
送られるALLYキーホルダー。多様性の海へ飛び込むダイバーに見立てた「Be a DIVER!」というコンセプトから、レインボーと海をモチーフにデザインした。
ALLYキーホルダーを「2つ」送る理由
eラーニングを受けた従業員は、事後アンケートで「ALLYであることを表明したい」と回答できる。表明した人にはALLYキーホルダーが「2つ」送られてくるという。
「ALLYとは、LGBTQについて理解し、行動を起こせる人のことだと私たちは考えています。ALLYを『表明』するのは第一歩ですが、その次のステップとして『行動』に移してほしい。キーホルダーを2つセットにして送ることで、ひとつを自分用に、もう一つを誰かに渡してもらい、ALLYを広げる行動を後押ししたいというコンセプトで作成しました」
eラーニングを開講して1週間で800人以上が「ALLYでありたい」ということを表明しているという。
「実際にALLYとしてどう行動すれば良いのかというのをテーマに、12月にイベントを開催しようと考えています。ALLY表明をしてくれた従業員だけでなく、他の企業の方にも参加いただけるようなイベントを企画中です」と根本さんは話す。
高木さんは「毎年LGBTQに関する啓発月間を設けて、eラーニングを受けてもらうような仕組みについても検討していきたいと思っています」と話した。
今後もチューニングし、企業風土として根付かせたい
リクルートにはLGBTとALLYの社内コミュニティがあり、当事者が約40名、ALLYが約60名ほど参加しているという。
「今回の取り組みも社内のコミュニティと連携して進めました。作って終わりではなく、当事者がどのように捉えているかを含め、今後も丁寧にチューニングをしていきたいですし、しっかりと企業風土として根付かせていきたいと思います」と高木さんは話す。
根本さんは「従業員数2.5万人ともなると、本当にさまざまな考え方や価値観の人がいるので、会社として一人ひとりが心地よく、それぞれの強みを発揮して活躍できる環境を作っていきたいと思っています。まだまだやらなければならないことがたくさんあります」と語った。
Allies Connect代表、中央大学大学院戦略経営修士の東由紀さん