PRIDE指標の取り組みがスタートしたのは2016年。4年で応募企業は82社から194社にまで増加した。
2016年頃は企業のLGBT施策自体が珍しく、一つ一つの施策がニュースに取り上げられることも多かったが、最近では取り組む企業の増加に従い報道数も減ってきている。
先日、国会ではパワハラ関連法案が成立し、性的指向や性自認に関するハラスメント「SOGIハラ」や、本人のセクシュアリティを第三者に勝手に暴露する「アウティング」対策を企業に義務づける方向が決まった。
このように、企業のLGBT施策は「次のフェーズ」──一部の意識のある企業だけの取り組みではなく、全ての企業へ。そして、物珍しかった施策ではなく、あたりまえに、そして実務的に取り組まなければならない施策──へと移行しているのではないか。
PRIDE指標2019でゴールドを受賞した企業のひとつである「リクルート」は、グループ会社全体におけるこれまでのLGBTに関する施策を87にもわたる項目から洗い出し、それを元に全従業員対象のeラーニングとオンラインのガイドブックを作成した。
担当者は、「PRIDE指標でゴールドを取ったからこそ重責を感じ、さらに取り組みを進めたいと思った」と語る。
企業のLGBT施策の「次のフェーズ」は何か。リクルート人事統括室ダイバーシティ推進部の根本篤子さん、高木愛子さんと、取り組みを監修したAllies Connectの東由紀さんにお話を伺った。
(左から)リクルート人事統括室ダイバーシティ推進部の根本篤子さんと高木愛子さん(※取材時)
87項目にわたり、グループ全体について取り組みを総点検
リクルートの施策はeラーニングとオンラインのガイドブックの作成、そして「ALLY」(LGBTを理解し、支援したいと思う人)を自ら表明し、行動する人の後押しなどで、施策として‟目新しい”わけではない。しかし、驚くべきは87にもわたるチェック項目でグループ会社に必要な施策を洗い出し、整理したことだろう。項目はAllies Connectの東由紀さんの協力のもと、客観的な視点から企業に求められる施策は何かを話し合い精査したという。
「リクルートは2018年度にもPRIDE指標でゴールドを獲得したのですが、担当者としては重責を感じました」と、高木さんは話す。
ゴールドに恥じない会社にしたい──そんな思いから「まだ制度や文化に抜け穴があるのではないか、ならば総点検をしよう」と今回の取り組みがスタートした。
「リクルートの大切な価値観“個の尊重”に加え、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や、(「性的指向や性自認による差別禁止」が明記された)東京都の人権尊重条例など、社会からの要請が大きくなっていることも取り組みを進める大きなきっかけになりました」