しかし、アルファベット傘下のウェイモは先日、ロサンゼルスに自動運転車両を投入し、ロボタクシーサービスの実現を視野に入れた、3Dマップの作成を開始した。
ウェイモは10月7日から、LiDARやレーダー、デジタルカメラやコンピュータを搭載した自動運転車両3台をLAのダウンタウンに投入し、コリアンタウンからビバリーヒルズを結ぶ混雑した道路でテスト走行を開始した。同社は当面の間、LAでロボタクシーサービスを始動する計画を持たず、まずは渋滞状況の把握に務めるという。
ウェイモでマッピングを担当するDavid Marginesは次のように述べた。「LAの道路状況はサンフランシスコとは異なっている。クルマ社会のLAと他の都市との違いを把握し、自動運転の導入にあたりどのような課題が存在するのかを見きわめていく」
LAへの進出は、ウェイモが自動運転車の対応状況の多様化を進める中で実施された。同社はフェニックスの都市部限定で、自動運転による有料の配車サービスを実施中だが、現在もなお緊急対応を行う人間のドライバーが同乗している。
ウェイモは、人間が同乗しない完全な自動運転を実現させる時期を明確にはしていない。また、仮に完全自動運転が実現したとしても、技術担当者がリモートで運行状況の監視にあたり、必要な場合は運転の補助を行うとしている。
グーグルは米国やその他の諸国の包括的な地図データを作成しているが、そのデータのみで自動運転車両を走行させることは難しい。自動運転においては、詳細な地形データが必要で、歩道の縁石の高さや路面の陥没や補修状況、信号の位置や車線の切り替え状況などの情報が必須となる。
「これらの地図データは、人々が日常的に使う地図とは別物だ」とMarginesは話す。「自動運転車が利用する地図データは、人々がレストランの場所を検索するグーグルマップとは異なっている」
ウェイモは、カリフォルニア州の公道上で人間のドライバーの同乗無しで自動運転のテスト走行を実施する許可を得ている。州から同様のライセンスを得た企業は、これまでのところ同社のみだ。一方で、LAの道路のマッピングデータの取得に関して、特別な許可は必要無いという。
「自動運転が都市のインフラの中で、どのようにパフォーマンスを改善していくかを知ることは、巨大な学習機会といえる」と、ロサンゼルス運輸局主任で都市交通の専門家のSeleta Reynoldsは話す。
「ウェイモとの取り組みを通じて、LAの当局は交通の未来に向かうイノベーションを、目に見える形で前進させていける」とReynoldsは続けた。