アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター

マーク・アンドリーセン(写真=イーサン・パインズ)

イメージは「非常識でいけ好かない炎上系」──しかし、2年ぶりとなる本格取材で語られたのは、もはやベンチャーキャピタル(VC)ですらない、新生アンドリーセン・ホロウィッツの姿だった。


2009年、マーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツが出資者に約束したのは「妄想狂の起業家を見つける」ことだった。野心的で、果敢で、著しく集中力が高く、かつてジョブズがそうしたように、ITを使って「宇宙に凹みをつくる(put a dent in the universe)」ような者たちをだ。実際、ふたりは数十億ドルに膨らんだファンド資金を用いてフェイスブックやツイッターに出資し、言葉をその通りに実行した。

アンドリーセンはいま、当時の言葉は「2019年にはそぐわなくなった」と言う。2年ぶりとなる本格的な取材で彼が新たに示したのは、「21世紀は『いけ好かなさ(disagreeableness)』 の世紀だ」というものだ。この過剰なつながりと情報過多の時代にあっては、「いけ好かない」者たちこそがユニコーンたり得るのだという。「自我」は時代遅れとなり、「怒り」がトレンドになるのだと。

不快ともいえるこの予想を伝えるのに、アンドリーセンほどの適任者はいない。これ見よがしに小切手を切る。ブログやツイッターを(トランプより先に)武器にしてきた。ルールを覆すことにかけてはシリコンバレーの第一人者なのだ。

アンドリーセンの成功を否定できるものはいない。10年にわたってアンドリーセン・ホロウィッツはシリコンバレーのエリートVCの一角を占め、投資家たちに(少なくとも帳簿上は)推定100億ドル以上の利益をもたらしてきた。さらに今後1年で5社ものユニコーン(エアビーアンドビー、リフト、ページャーデューティー、ピンタレスト、スラック)の上場が見込まれる。(編集部注:米『Forbes』2019年4月30日掲載時点)

「どの産業でも通じる、最も有効な『差別化の方法』は何か。ナンバーワンになることだ」と、スキンヘッドで身長195センチ、47歳のアンドリーセンは自信に満ちた声で説く。

ナンバーワンであり続けることは、ナンバーワンになるより難しい。テクノロジーが世界をよりよく変えるという楽観主義は、フェイスブックでデータ絡みのスキャンダルがもちあがるたびに色褪せた。10億ドル規模の競合ファンドがこれまでにない速度で誕生している。

さらに1000億ドルの超巨大ファンドをひっさげた新参のソフトバンクが、それらすべてのファンドを──アンドリーセン・ホロウィッツも含めて──時代遅れに見せている。

文=アレックス・コンラッド 翻訳=町田敦夫 編集=杉岡 藍

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