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アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター


12年に出資したギットハブ(その後にマイクロソフトが75億ドルで買収)は、こうしたブリーフィングを通じて収益を大いに拡大させたことから、アンドリーセン・ホロウィッツにスタッフを常駐させていたという。

食品宅配サービスのユニコーンであるインスタカート(14年に出資、現在の企業価値79億ドル)も、ここで全国規模の小売りチェーンや食品ブランドとの提携を獲得している。

ほかのVCも明らかにアンドリーセン・ホロウィッツのやり方を追随している。ブロガーやポッドキャスター、財務やセキュリティのエキスパートなど、投資業務を担当しない専門職の数が近年、VC業界で急増しているのだ。

「サービスを提供するという発想が、いまや大前提になったように感じる」と、VCのヘイスタックでGPを務めるセミル・シャーは言う。「多くのVCが模倣しているよ」。

アンドリーセン・ホロウィッツの1番目と3番目の主要ファンド(それぞれ3億ドルと9億ドル)は、すでに出資者の金を5倍に増やした模様だ。2番目のファンド(6億5000万ドル)と4番目のファンド(17億ドル)も出資金を3倍にしており、さらに成長することが期待される。

近年はアンドリーセンもホロウィッツも舌鋒を抑え気味だ。アンドリーセンは過去の自分の主張に反して、「VCは危機に瀕した業界ではない」と認めている。ホロウィッツはさらに踏み込んだ。

「ある意味、後悔しているよ。きちんとしたビジネスをしている人々の感情を傷つけたと思う。言い過ぎた」

新生アンドリーセン・ホロウィッツ

4月のある日、アンドリーセン・ホロウィッツの幹部が本社の会議室に集まり、さるバイオテック企業の創業者ふたりとの面談を行った。普段と違っていたのは、アンドリーセン・ホロウィッツ側がスタートアップに対してプレゼンを行ったことだ。実働部隊のリーダーたちが、まだ事業内容を公表してもいないその健康診断系のスタートアップに、自社のサービスを売り込んだ。

スタートアップ側はやや面食らったようだった。2年前はただ面談し、少額の出資を取り付けただけだったからだ。続く1時間、彼らはアンドリーセン・ホロウィッツがこの1年半でさまざまな専門職を雇ったことや、ユナイテッドヘルスやカイザー・パーマネンテといった医療保険会社とのコネを獲得したことなどを次々と説明された。

この逆プレゼンは、新生アンドリーセン・ホロウィッツの象徴だ。VCが行う通常のプロセスを覆しただけではない。以前は決して手を出さないと表明していたバイオテックに出資しようとしているのだ。「我々はまだIT業界に占めるほどの影響力を、バイオテックでは占めていない」と、17年にGPになったホルヘ・コンデは言う。「だが実績は残してきた」。

コンデはバイオ医薬品企業のサイロスで最高戦略責任者を務めたり、ゲノム系のスタートアップを共同創業したりしてきた。彼のような専門家が社内にいるのは、いまや当然のことになっている。

文=アレックス・コンラッド 翻訳=町田敦夫 編集=杉岡 藍

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