「機能」と「風格」を兼ね備えたコート|紳士淑女の嗜み

ダーバンのコート

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は10月号(8月24日発売)より、「ダーバン」のコートをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):最近、カジュアル化の反動もあって、ドレスクロージングが再び注目を集めていますが、今回取り上げるのは日本を代表するスーツブランドのダーバンです。

小暮昌弘(以下、小暮):1970年に創業、来年、50周年を迎える日本の老舗ですね。しかし、今回、紹介するのはコートです。

森岡:実は、このコート、素材に「ゴアテックス」が使われています。

小暮:えっ、それは驚きですね。「ゴアテックス」は、撥水・透湿・防風に優れた素材として知られていますが、どちらかというとアウトドアウエアに使われることが多かったと思います。

森岡:そうなんです。でもダーバンでは「ゴアテックス」でこんな正統派のステンカラーコートを出しているのです。

小暮:昔、ある人から聞いたのですが、「ゴアテックスは、縫製などの基準があって、指定の工場でないと縫えないと聞きました。つまりダーバンはその条件をクリアしているのですね。それにしてもこの素材、「ゴアテックス」には見えません。

森岡:表地はナイロンとポリエステルを混紡した2レイヤー。一見、ウールに見えますよね。色合いも杢調で、いろいろなスーツやジャケットにも合います。

小暮:ネイビーでも、グレーのスーツでもいいですね。

森岡:スーツづくりに長い歴史をもつダーバンですから、スーツに似合うような素材づくり、デザインや仕様にしているのだと思います。ビジネスシーンでスーツやジャケットに合わせてもいいのですが、カジュアルテイストの服とも合うと思いますよ。昨今、グレーはトレンドの色でもありますからね。そういう流行にもこのコートはリーチしているような気がします。

小暮:「ゴアテックス」は生地にハリがありますからね。着ると立体的に見える。タートルセーターなどにこのコートを着ると、意外とモードにも見えるかもしれませんね。
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photograph by Masahiro Okamura|text by Masahiro Kogure|fashion direction by Hiroshi Morioka|illustration by Bernd Schifferdecker|edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN 空気は読まずに変えるもの日本発「世界を変える30歳未満」30人」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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