ビジネス

2019.10.10 07:30

読書に戦国ゲーム、将棋。ビジネスに生かせる「共通点」とは

フライヤー代表取締役CEO 大賀康史

1冊10分で読めるビジネス書の要約サイト「フライヤー」を運営する大賀康史。コンサルティング会社を退社し、起業に至った理由、読書や戦国ゲーム、将棋など趣味について語ってもらった。


大学院で環境に優しいエンジンの研究をしていたので、同級生はほとんど自動車メーカーに進んだのですが、幼少期から歴史書が好きで、中でも「軍師」が好きだった私は、「戦略立案で世の中にインパクトを残したい」とコンサルティング会社に就職。システム開発、経営コンサルティングなどに従事してきました。

しかし、人生の転機はある日突然に。同僚との「スキマ時間に本の概要がわかる仕組みはつくれないか」という雑談が「ビジネス書の要約サービスがあれば……」という話へと展開。

1週間後には退職し、ビジネス書1冊の大筋を10分で理解できる書籍要約サービス「フライヤー」を設立しました。出版社調整の難航、資金ショート、創業メンバーの退社などいくつもの荒波に襲われたものの、エンジェル投資家からの援助を受け、事業は成長軌道へ。おかげさまで現在は180の出版社と提携し、新刊を中心に計1800冊の要約を掲載、会員数は40万人突破となりました。

自身の本格的な読書が始まったのは、就職活動中です。理系出身のため、恥ずかしながらコンサルティング用語が単語レベルでわからず、まずはビジネス書を1日1冊のペースで片っ端から読み始めました。大学院では機械工学に関する論文を読みふけっていましたが、論文には必ず冒頭に要約があって、読むべきかどうかが即座にわかります。その経験が起業のベースになったように思います。

いまも毎日欠かさない読書は趣味と実益を兼ねていますが、実益のない趣味として夢中なのが歴史シミュレーションゲームです。特に「信長の野望・創造」は、戦国大名だったらきっとこのように考えただろうと思わざるを得ない。人を集め、街を発展させながら、軍略を練り、武器を揃え、同盟を組む。そしてある程度強くなると、今度は連合国の包囲網にあう。

実際に戦国時代はそういう歴史を歩んできたのであって、それを脳内で再現できるのがすごく面白いです。もうひとつハマっているのが、その日公開される棋譜のトレース。特に、渡辺明三冠、藤井聡太七段、谷川浩司九段の対局はすべてチェックしています。局面でいかに柔軟に対応するか、通常考えないような意外な手をどんなタイミングで指すか、相手の考慮時間を変えるにはどういう指し手があるか。

非常に戦略的ですし、解説付きなので理解もしやすく、頭のトレーニングにうってつけです。 高校3年生の夏までは野球漬けで、将来の夢は「野球選手」でした。セカンドでしたが、ピッチャーとショートと連携しながらセカンドのランナーをおびき出して刺すとか、ゲッツー時のショートのトス渡しなど、昔から連携プレーが好きです。

考えたら、戦国ゲームも将棋も野球も俯瞰の視点を養えるという共通点がありますね。「虫の目・鳥の目・魚の目」とはよく言いますが、あふれかえる情報の中から真に必要なものを集めて分析し、次の一手を繰り出すには、俯瞰の視点は必須。趣味はビジネスにも役に立つという好例かもしれません。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN 空気は読まずに変えるもの日本発「世界を変える30歳未満」30人」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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