ビジネス

2019.10.09 11:30

アマゾンCEOの「元妻」、マッケンジー・ベゾスの謎めいた人生

Photo by Greg Doherty/Patrick McMullan via Getty Images

Photo by Greg Doherty/Patrick McMullan via Getty Images

マッケンジー・ベゾスは口うるさい上司ではなかったと、当時の部下は話す。アマゾンが創業間もない1996年、彼女はオフィスのキッチン脇のスペースで会計の業務にあたり、一日に12時間働いていた。夜になると倉庫に出かけ、発送の作業を手伝った。

アマゾンの7番目の社員であるMike Hanlonは、「彼女はとても献身的な人だったが、後にビリオネアの妻になるとは想像もしなかった」と話す。現在49歳のマッケンジーの人生は謎に包まれている。彼女は今年1月にジェフ・ベゾスとの離婚を発表して以降、沈黙を守っている。

ベゾスとマッケンジーの離婚は今年7月に成立し、ベゾスが保有するアマゾン株の4分の1をマッケンジーが保有することになった。フォーブスが10月2日に発表した米国の富豪ランキング「フォーブス400」でマッケンジーは15位に入り、保有資産は361億ドル(約3.9兆円)とされた。

アマゾンの初期の投資家のNick Hanauerは「彼女はアマゾンの株式の半分を譲り受けても良かったはずだ。マッケンジーはジェフと対等なパートナーだった」と話した。

フォーブスはマッケンジーに取材を申し入れたが、返事は得られなかった。数週間をかけて100人以上の人物にコンタクトをとった結果分かったのは、彼女が人前に出ないことを強く望む人物で、卓越した才能を持つ女性であることだ。

マッケンジーは3人兄弟の次女としてサンフランシスコで育った。6歳の頃には、「本の虫」というタイトルの142ページの本を書いたという。コネチカット州のボーディングスクール「ホッチキス」に進んだ彼女は、同校を1年飛び級で卒業した。その後、プリンストン大学で英文学を専攻した彼女は、ノーベル文学賞受賞作家のトニ・モリスンに卒業論文の指導を受けた。

プリンストン大学教授のジェフ・ヌノカワは「マッケンジーはとても穏やかなキャラクターで、非常に聡明な人物だった」と話した。

ヘッジファンドでの出会い

マッケンジーは大学卒業後に大手ヘッジファンドのD.E. Shawに勤務し、そこでベゾスと知り合ったという。ベゾスが1994年にアマゾンを創業した当初から、マッケンジーは彼の仕事を手伝った。

「会社が始まった当時、役職などは関係なく、誰もがあらゆる仕事をこなしていた」とアマゾンの初期従業員のTod Nelsonは話した。

マッケンジーはアマゾンが上場を果たした1997年頃になると、業務からは離れ、小説の執筆に専念するようになった。その後、2005年に最初の著作「The Testing of Luther Albright」をハーパーコリンズから出版し、翌年には全米図書賞を受賞した。もう一冊の著作「Traps」は2013年に出版された。

近年のマッケンジーの暮らしぶりはほとんど謎に包まれている。2018年に彼女はジェフ・ベゾスと共同で、ホームレス救済を目的とした20億ドル規模の慈善ファンド「Bezos Day One Fund」を立ち上げていた。

今年5月、ベゾスとの離婚調停が進む中で、マッケンジーは慈善運動「ギビング・プレッジ」への参加を表明し、保有資産の少なくとも半分を慈善事業に寄付すると宣言した。しかし、その際にも彼女はメデイアの取材に一言のコメントも発しなかった。

編集=上田裕資

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事