ビジネス

2019.10.08

再配達のムダをなくす。在宅情報を共有し、利⽤者と物流会社をつなげるサービス「TODOCU」

TK6753 / Shutterstock.com

アマゾンや楽天をはじめとするネット通販が普及し、家にいながらにして買い物ができる便利な時代になった。その一方で、宅配便の個数は増加している。中でも社会問題化しているのが「再配達」だ。その数は年間約80万個。1年間で人件費にして約9万人分、金額にして2200億円にものぼるという。

そんな再配達問題の解決に取り組むスタートアップがある。再配達依頼いらずで荷物を受け取れるアプリ「TODOCU」を手がける207だ。同社は10月8日、「TODOCU」を東京都品川区、目黒区、大田区の東京都一部地域で展開すると発表した。

同アプリはスマートフォンにダウンロードし、GPSをオンにするかオフにするか選択する。GPS機能を利用した「在宅自動判定モード」では、利用者が在宅中かどうか自動判定し、宅配業者が届ける。

GPSをオフにしていても、配達員が自宅近くに到着するとプッシュ通知で知らせ、在宅と回答すると配送員が荷物を届ける「アナログ回路モード」の2つのモードがあり、再配達依頼の手間いらずで、在宅中に荷物を受け取れるサービス(特許出願中、登録料・利⽤料は全て無料)。

同社は2018年に創業。2017年頃から、宅配便の個数や再配達の増加、人手不足を背景に「宅配クライシス」が問題視されるようになった。そうした背景から、207代表の高柳慎也は「再配達問題や宅配クライシスの話題が多く報道されるなか、テクノロジーによって『再配達問題』を解決できるのではないか」という思いが強くない、会社を立ち上げたという。



再配達のストレスから課題解決へ

「私自身、突発的な外出の用事が起こることが多く「時間指定」に対応できず配送員の方に申し訳ない気持ちになったり、再配達の1~2時間の時間指定枠のなかで自宅で待機することに対してストレスを感じることがありました。そこでスマートフォンの普及率は過半数を超えている現代に、テクノロジーを使って再配達問題を解決することで労働環境や環境問題に少しでもプラスになるのではと考えました」(高柳)

もともと、207は⽇中荷物を受け取れない⽅向けに夜間(21-25時)での荷物受け取りを可能にするサービスをこれまで展開してきたが、再配達によって物流会社の人件費が2200億円にのぼり、CO2排出量が年間排出量の1%にものぼっていること。

そして、ユーザーは再配達の手間がかかっていることに着目し、荷物を受け取る利⽤者の不在時間をテクノロジーによって把握し、物流会社と利⽤者をつなげるサービスの開発に至った。それが「TODOCU」だ。
次ページ > 再配達の防止は「置き配」が主流

文=本多カツヒロ

ForbesBrandVoice

人気記事