ビジネス

2019.10.07 12:00

リファレンスチェックを当たり前に。採用のミスマッチをなくす「back check」が正式リリース


「だからこそ、面接という採用の入り口の段階でどう見極めるかが重要になってくる。弊社としては、リファレンスチェックは最終面接より前に行ってほしいと考えています。履歴者や職務経歴書といった採用候補者の自己申告による情報をもとに1時間の面接をするより、リファレンスチェックを行うことで十分な事前情報があれば、より有意義な面接になると考えています」(中嶋)

リファレンスチェックをしないこれまでの面接では、採用担当者個々の経験や勘、候補者の印象に左右されることも少なくないが、リファレンスチェックを行えば、一緒に働いたことがある人たちの客観的な情報を得ることができる。

「たとえば、ストレス耐性を面接で見抜くことは非常に難しい。実際に同僚からのリファレンスチェックの評価ではストレス耐性に対する懸念が詳細に言及されていた。その方の場合、与えられた業務や目標に関しては非常に精度高く成果を出せる一方、0から何かを生み出すような業務に対しては苦手意識が強くストレスを抱えながら仕事をしていた」といった情報は面接や書類選考では得ることができない。


back check サービス画面イメージ

back checkはすでにいくつかのスタートアップや大手外資系企業などでβ版が使われており、アカウント発行数は90社を突破しているという。

中嶋によれば、「一度選考から外れた人材がback checkによって、再び選考ルートに乗り、内定が出た事例もある」と言う。

非正規雇用という社会課題

また、ROXXが展開するもうひとつのサービス、求人流通プラットフォーム「agent bank」は人材紹介会社向けの月額定額制の求人データベース。月額料金のみで2000件以上の求人に、自社で抱える転職希望者を掲載企業に紹介することが可能で、成約時の紹介料を全額人材紹介会社が受け取れるモデルだ。

現在の転職市場において、非常に優秀な約5%の人たちは、人材紹介会社やエージェントを利用しなくても簡単に転職することが可能だ。

「次に優秀な若手の転職希望者、年収で言えば400~600万円の層も、転職サイトを利用すれば自身の力で転職することができる。agent bankとして今後力を入れていかなければならないのは、年収300万円前後や高卒、正社員未経験の人たちに対してのサービス。彼らは書類選考で落とされてしまう。私と同じ1992年生まれは約120万人、そのうち大卒で就職するのが約40万人、残りの約80万人は大卒ではないという理由で、就職や転職の選択肢が大幅に減ってしまっています」(中嶋)

日本の場合、学校卒業後の初職が非正規だと、そのまま非正規に甘んじる傾向がある。現在の日本の非正規の割合は、雇用者全体の37.3%(総務省、労働力調査より)。その最たる例が最近話題になる中年フリーター問題だ。就職氷河期世代にあたる35歳~54歳の非正規雇用で働く中年フリーターは約237万人にものぼる。

「非正規雇用の彼らに対し、人材紹介会社は紹介料が少ないためなかなか手を出そうとしない。私たちは、紹介料を下げて警備会社やタクシー会社などへ紹介しています。ある大手警備会社の場合、経験や学歴に関係なく、正社員として終身雇用を前提に様々なキャリアアップのプランが用意されており、非正規から正規雇用に安定を求める人には向いている」(中嶋)

またパーソルと提携したことで、さらに求人・求職者の案件数の増加が見込まれるとともに、パーソルグループが保有する人材プールを活用してエージェントが仕事をしやすくなる、という。

ROXXはback checkとagent bankの両サービスの利用者を拡大していき、求人・人材情報の質向上を狙っていく予定だ。

文=本多カツヒロ 写真=小田駿一

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