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2019.10.04

米メディア王の娘がスナップに接近、「モバイルの覇権」狙う

左:娘のエリザベス・マードック 右:メディア王のルパート・マードック(Samir Hussein by Getty Images)

メディア王ルパート・マードックの娘のエリザベス・マードックが設立した、モバイルに特化した制作スタジオ「Vertical Networks」が、スナップチャットのコンテンツ制作を行う「Whistle」に買収された。Whistleはスポーツやエンタメ系の番組を手がけている。

Vertical Networksの出資元のスナップとマードックは、株式交換によりWhistleのエクイティを取得する。取引の詳細は明かされていない。

マードックは4年前にVertical Networksを設立し、モバイル動画市場に乗り込んだ。Vertical Networksは恋人たちの出会いをテーマにした、スナップチャットのリアリティ番組Phone Swapなどを制作していた。この番組は面識の無い男女が、お互いのスマホ内の写真や動画をチェックして、付き合うかどうかを決めるものだった。

Vertical Networksはその後、スナップチャット以外にもコンテンツの提供を進めていた。

Whistleは当初はWhistle Sportsという社名を名乗り、スナップチャットのスポーツライフスタイル番組を制作していた。Whistle Worthyシリーズではアマチュアスポーツ選手に焦点をあて、バスケットボールをテーマにした番組Dunk Leagueも人気となった。

Whistleは今年初めに、TV制作会社のイマジン・エンターテインメントの創業者のロン・ハワードや、ディスカバリーが出資するNew Formを買収し、制作体制を強化していた。Vertical Networksを傘下に収めることにより、Whistleはさらにポートフォリオを強化する。

今回の買収のニュースは、マードックが新たなエンタメ企業Sisterの立ち上げを宣言したタイミングで伝わった。Sisterの設立には、元20世紀フォックス会長のStacey Sniderや、TVプロデューサーのJane Featherstoneらも参加した。Sisterの基盤となったのは、HBOのチェルノブイリ原発事故をテーマとしたドラマ「チェルノブイリ」の制作を手がけたSister Picturesで、同社はFeatherstoneが設立した企業だ。

マードックは現在、Sistersの筆頭株主となっている。

編集=上田裕資

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