インドの電動スクーター企業「Ather」が目指すエネルギー革命

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ガソリン車よりは割高

「我々はエネルギー会社を作りたかった。インターネットを除けば、あらゆる業界がエネルギーを基盤にしているからだ」とMehtaは話す。昨年、Atherはバンガロールにショールームを開設した。今年はチェンナイに2件目をオープンし、将来的にはデリーやハイデラバード、プネー、ムンバイにも開設する計画だ。同社は、アジアや中南米でパートナーを探しているが、まずはインド国内の事業基盤を固めたいという。

インド市場で成功するには、洗練されたデザインとブランドロイヤリティの構築が重要だが、何よりも消費者が重視するのは価格だ。この点において、Atherは不利な状況にある。「Ather 340」は1600ドル、「Ather 450」は1770ドルであるのに対し、同レベルのガソリンエンジンモデルは950ドルで売られている。

電動スクーターの競合も増え、ネット上では簡単に価格比較ができる。インド政府は排ガス規制を強化しており、電動スクーターを購入すると補助金給付や減税措置を受けることができる。Atherは、こうした制度を活用して価格を引き下げることを検討している。

Mehtaによると、インタラクティブなタッチパネルやグーグルの技術を活用したナビゲーションシステムに加え、ガソリンエンジンよりも高い加速性能などが消費者の支持を得ているという。

「我々は当初、アップルウォッチを着け、ウーバーを利用するようなユーザーが多いと予想していたが、実際にはこうした層は市場全体の5%にも満たない。我々は、想定していたユーザー像を大きく変更した」とMehtaは話す。

彼によると、サステナブルな輸送手段の構築は、Atherが目指すゴールの1つに過ぎないという。「今から20年後、Atherは電動スクーターメーカーをはるかに超越した企業になっているだろう」と彼は語った。

編集=上田裕資

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