インド大使館のラージ・クマール・スリヴァスタヴァ首席公使によれば、スタートアップ支援の主要な柱としては、簡素化、手厚い指導、資金とインセンティブ、インキュベーション、産学パートナーシップが挙げられるという。
インド大使館にて、Raj Kumar Srivastava (ラージ·クマール·スリヴァスタヴァ)首席公使と筆者
「近年インドの教育は大きく変わり、大学は学生に学業や学位を修得するだけでなく、スタートアップのアイデアを創案し、特許を申請することを奨励しています。したがって、教育界と産業界を結び付け、大学での教育をより専門性と革新性のあるものにしています」
さらに、スリヴァスタヴァ主席公使は、「インドのスタートアップエコシステムの特徴は、スタートアップの半数以上が、システムと効率の改善、および社会的イノベーションによる社会問題の解決に焦点を当てた、非技術分野であることです。これらの多くが、SDGsに関連しています」と続ける。
バンガロールがスタートアップの首都と称される一方で、ムンバイは、インドのファイナンスの首都と呼ばれ、投資家コミュニティで注目されている。ファイナンスやコンシューマー、メディア、リテールの分野で強みを発揮する点で、ムンバイのエコシステムはニューヨークのそれと比べられることも多い。
インド工科大学ムンバイ校のカルチャー
ここで重要な役割を担っているのがIITBだ。IITBの客員教授であり世界的な人工知能の権威である永原正章教授と共同研究を進める、Debasish Chatterjee教授に、IITBのカルチャーなどについて聞いた。
「IITBは、エンジニアリングを楽しみながら学べ、とても賑やかな雰囲気です。教えながらも学び続ける教員の割合が高く、学生に学び続けることの大切さも教えています。また、芸術、スポーツ、社会活動も活発に行われています。緑の多いキャンパスは、散歩するのにも気持ちが良く、すぐそばには国立公園もあります」
生徒は卒業後、アカデミアに進むか、ビジネスの道に進むという。その多くはインドに残るが、アメリカをはじめ、世界でも大活躍している。起業する卒業生も多ければ、シリコンバレーの大企業で経営者になるケースも増えているという。