フォーブスの「30アンダー30」に選ばれたRelativityのCEO、ティム・エリスは「Terran 1の製造に用いる十分な資金が調達できた」と宣言した。同社のロケットの初打ち上げはケープカナベラル空軍基地から実施される。
今回のシリーズCはBondファンドのNoah KnaufとTribe Capitalらの主導で実施された。ビリオネアのマーク・キューバンも出資するRelativity の累計資金調達額は、これで1億8500万ドル(約200億円)に達した。同社は2020年にテスト打ち上げを行った後、2021年に3回の打ち上げを計画している。
従来の宇宙衛星が自動車ほどのサイズだったのに対し、低コストで製造可能な小型衛星分野には100以上のスタートアップ企業がひしめいている。しかし、既に打ち上げに成功したのはロサンゼルス本拠の「ロケットラボ(Rocket Lab)」のみとなっている。小型衛星分野では、今後の数年で市場のリーダーとなる企業が決まる。
Relativityは3Dプリンターで製造プロセスを合理化し、低コスト化を実現することで競争力を高めていく。同社はロケット製造に特化したStargateと呼ばれる巨大な3Dプリンターの開発を完了し、既にTerran 1の第1ステージと第2ステージの設計を終えている。
工場の設備が整えば、Relativityは繰り返し、同様なロケットの製造が可能になるとエリスは話した。同社のロケットはサイズが競合他社よりも若干大きいというメリットもある。
さらにコスト面でも優位性がある。「Relativityが開発したTerran 1ロケットの価格は1000万ドル(約11億円)で、競合他社の多くを下回る」とアナリストは話す。
Relativityは既にカナダの通信企業「テレサット(Telesat)」の小型衛星の打ち上げを受託したほか、タイの宇宙企業mu Spaceとも提携を結んでいる。また、米国のロケット打上げ斡旋サービスを行うSpaceflightとも商用打ち上げに向けた契約を結んでいる。
初回のテスト打ち上げは今から約1年後だが、エリスは既にその先を考えている。「長期的な目標の一つは、当社の3Dプリンター製ロケットを火星に送り込むことだ」と彼は話した。