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2019.10.03

法律だけでは不充分、ドライバーに義務付けられた睡眠チェックの盲点

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2. 睡眠の量だけでなく、質や深さにも注目する必要がある

今回の規則改正では睡眠不足かどうか、つまりどれだけ寝たかの「量」だけに注目をしているが、睡眠は質も重要であり、例え8時間寝たとしても、とくに前半に深い眠りが実現できていないと、起きた時にだるく、昼間でも眠気を感じることがあるため、量と同じくらい質についても注目をする必要がある。

3. 食事の摂り方でも眠気は来ることがある

睡眠が量も質もとれていたとしても、食事の摂り方で急激な眠気に襲われることがある。空腹に炭水化物を一気に放り込み、咀嚼を怠り、かきこむように食べると、血糖値が一気に急上昇する。それを抑えようとインスリンが分泌され、その結果、血糖値が急激に低下してその時に強い眠気に襲われることがある。運転手の方には、食事の摂り方についても気をつける必要がある。

4. 睡眠衛生指導を啓蒙する必要性

ベッドでの過ごし方、眠る前の光の調整、食事の内容とタイミング、体温の調整などにより、睡眠の質は大きく変わってくる。睡眠を阻害しないための生活習慣や環境のコントロールなどで睡眠衛生環境を整えること、またその具体的なノウハウを学び、ドライバー自身が睡眠をコントロールできるようになることが最も大切なこととなる。

睡眠という観点から見れば、このようなすべてのことに配慮することが理想ではあるが、物流や運輸業界のドライバーの方々は、睡眠以外にも、アルコールチェック、速度超過チェックなどさまざまな確認項目があるため、あまりにも多いとそもそも業務ができない状態になってしまう。

なので、ドライバー、運行管理者、そして経営者の間で、お互いを理解し合い、話し合う健全な関係性ができてこそ、本当の意味での良い安全運行ができていくと考えられるのだ。

連載:「睡眠」をアップデート
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文=小林孝徳

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