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2019.10.03 08:00

法律だけでは不充分、ドライバーに義務付けられた睡眠チェックの盲点

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今年6月から、バスやタクシー、トラックのすべてのドライバーは、乗務前に睡眠不足かチェックするため会社から点呼を受けることとなった。新たに施行された「旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則等」の改正によるもので、事業者にはその点呼チェックが義務化されたのだ。

ようやく時代に追いついた

ここ数年、バスやトラックの運転手が居眠り運転などで事故を起こし、多くの犠牲者を出した事件が相次いでいた。

2012年4月29日に発生した関越自動車道高速バス居眠り運転事故では、群馬県藤岡市岡之郷の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近で、都市間ツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡し、乗客乗員39人が重軽傷を負った。運転手は居眠りをしていたと答えている。

広島県東広島市の山陽自動車道トンネルで2016年3月に発生した事故では、トラックの運転手が事故3日前から2日前にかけて一睡もせずに36時間乗務を続けており、過酷な勤務が居眠り運転につながったという報告がある。

飲酒運転は以前から法律で禁止されていたが、睡眠不足状態での運転に関して、業界限定とはいえ法的に禁止されるというのは、ようやく時代に現実が追いついてきたとも言える。

実際、睡眠不足の脳の状態は、酒気帯びと同じ状態に匹敵することは科学的にも証明されていることであり、睡眠不足が産業現場に大きな危険をもたらすことは明白な事実だ。

今回の規則改正は、睡眠不足かどうかという、いわゆる睡眠の「量」に注目をした施策であり、それだけでもとても意義がある取り組みと考えられる。とはいえ、睡眠や眠気のメカニズムを考慮すると、今回の規則改正に関しても、まだまだ次のような4つの重要な盲点があると考えられる。

1. 慢性的な睡眠不足は、眠気を認識しづらくなることがある

人間には、本来、各自に適切な睡眠時間があり、それが足りないと睡眠負債が蓄積し、集中力の低下や健康にも悪い影響が出てくる。しかし、慢性的に睡眠不足の状態が続くと、実は人間は眠気を正常に認識しづらくなってしまう。

本当はもっと睡眠時間が必要であり、眠気を感じているにもかかわらず、仕事などで緊張や気が張り詰めている状態になっているとそれを感じずに、ケアレスミスや気づかない寝落ち(マイクロスリープ)をしてしまうため、とくにドライバーにとっては注意が必要となる。
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文=小林孝徳

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