テクノロジー

2019.10.02 07:00

テスト自動化プラットフォームの「Autify」が正式ローンチ、250万米ドルの資金調達も

左:オーティファイ共同創業者CEOの近澤良 右:オーティファイ共同創業者兼エンジニアのSam(Sota Yamashita)

左:オーティファイ共同創業者CEOの近澤良 右:オーティファイ共同創業者兼エンジニアのSam(Sota Yamashita)

「いまの時代、開発してからテストでは遅い。要件定義をした段階でテストをスタートしないといけない。Autifyを通じて、最終的にテストフェーズをなくしたい」

こう語るのが、サンフランシスコを拠点にAIを用いたソフトウェアのテスト自動化プラットフォーム「Autify」を手がけるオーティファイの近澤良だ。

同社は10月2日、グローバル・ブレイン、Salesforce Ventures、Archetype Ventures、複数の個人投資家を引受先とし、総額250万米ドル(約2.6億円)の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の資金調達により、資金調達額が累計307万米ドル(約3.2億円)となった。

今回調達した資金は、プロダクト開発体制・販売体制の強化、グローバル市場の開拓に活用していくという。またオーティファイはこの発表に併せて、クローズドベータ版として運用を続けていたAutifyをグローバルで正式にローンチした。

71%の企業が週1回以上のリリースを希望している

Autifyは記録ボタンをクリックしてブラウザを操作するだけで、ウェブアプリケーションの検証作業が自動化できるツール。プログラムコードを書く必要がないため、非エンジニアでもテストの自動化が可能になる。また、AIがアプリケーションコードの変更を監視し、自動で検証シナリオの修正を行うため、メンテナンスコストを大幅に下げられる。

昨今、多くの企業は市場の素早い変化に対応するため、ソフトウェア開発において開発サイクルを素早く回す「アジャイル開発」を取り入れており、その割合は全世界で92%を記録していくという。近澤によれば、「そのうちの71%が週1回以上のリリースを希望していますが、その開発サイクルでは、ソフトウェアの検証作業(QA)を人手に頼ると時間がかかりすぎ、早期リリースのボトルネックとなってしまいます。そのためアジャイル開発を推進する企業においては、検証作業の自動化が急務となっています」と語る。

そうした問題を解決すべく、開発したのがAutifyだ。Autifyを導入することで、従来のテスト自動化サービスでは検証作業の自動化が困難だったJavascriptを多用した複雑なアプリケーションでも、簡単に自動化ができる。

近澤は日本人で初めて、B2Bのスタートアップに特化した約6カ月のアクセラレータープログラム「Alchemist Accelerator(アルケミスト アクセラレーター)」を卒業した後、今年の3月にAutifyのクローズドβ版をリリースした。

「リリース後の反応は想像以上だった」と語る近澤。一切マーケティング活動をしない状態にもかかわらず、150社以上にのぼる企業からデモリクエストが殺到。そこからテストユーザーとして相性の良さそうな急成長中のスタートアップ、上場企業を含む数十社に導入を行い、フィードバックをもとに課題を抽出していった。

以降、半年間にわたってプロダクトの機能改善を重ねていき、「ようやく正式にローンチする体制が整った」(近澤)とのことで、今回グローバルの正式ローンチに至ったという。

今後もデモリクエストを申し込んだ企業から順次案内していくとともに、価格は、使用量や機能に応じて月額、年額制で提供していく予定とのこと。

「今後もプロダクト開発に力を入れていきます。具体的には自動化範囲の拡張、テスト実行環境の内製化、Chrome Extensionの機能改善、AIでの要素の発見ロジック改善などに注力し、ユーザーのテスト体験を充実させていきます」(近澤)

文=新國翔大 写真=Autify提供

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