ラブリと白濱イズミの関係性。彼女が「社会派インフルエンサー」と言われる訳

白濱イズミ


当たり障りのない内容じゃない投稿

周りが考える「ラブリ像」があるとしたら、発信しすぎると、仕事への「リスク」もあるのではないだろうか。

「私の投稿は当たり障りない内容じゃないので、実際に特定のお仕事は減ったように感じています」と白濱。一方で、社会に関わるトークイベントの登壇の機会や、言葉を使う仕事は増えている。また、これまでメッセージが届かなかった層の人たちとも繋がるようになったと感じている。

「発信することも大事だし、私にとってはいろんな面を持ってバランスを取ることは大事。昔はラブリという存在にコンプレックスがあったけれど、最近はラブリとしての仕事も悪くないと思えるんです。世の中で起きることは綺麗事ではない、だからこそ、時に強い言葉で発信しないといけないことがあるんです」

現在、29歳。この年代で自分の思いや考えをSNSで発信する女性の芸能人が少ないことから、白濱の発言は目立ち、芸能ニュースで取り上げられることもしばしばある。「芸能界さえも、これからは個人として発信していく時代がくると信じています。社会がいつか裏返るはず」。



ファンコミュニティは「新しい○○」

白濱イズミとしての表現活動とは別に、彼女が大切にしているコミュニティがある。

4年前から運営しているファンクラブ「KILIG」だ。8割が女性で、学生から社会人まで、職業もさまざま。このコミュニティでは肩肘張らず、「みんなで共有、体験、経験をしよう」という趣旨だ。日頃のプライベートの写真や言葉の配信、まだ公開されていない仕事内容なども話しているそうだ。

そしてイベントでは、撮影現場への招待や、メイク講座、ピクニック、フィリピンツアーなど、白濱がすべて企画している。最近行ったフリーマーケットでは、全額を動物愛護団体に寄付をした。

イベントによってさまざまだが、参加者は20~100人の規模感。ファンとの距離感は、遠すぎず、近すぎず、保ちつつも、一人ひとりと密なコミュニケーションを心がける。時に、女性ファンの恋愛や就職の相談に乗ることもあるという。

このコミュニティを白濱は「新しい社会」と捉える。それぞれの人たちに役割があり、年齢や職業を超えてひとりの人間として繋がってゆく。このコミュニティのおかげで、「私には社会で発信できる役割、立場があるかもしれない」と、社会について考えるようになったのだ。

白濱は、積極的にSNS上で発信している。最近では、愛犬が虐待を受けた実体験から社会に伝えたいことを発信した。もちろん事実を表に出さない、という選択肢もあったが、思いのこもった長い投稿文には「私はこの事実を言葉にすることで同じ立場にいる人や動物への意識、法律、社会、何かが変わるかもしれないと思ったから話しました」と記されていた。

「伝わらないところには伝わらないし、伝わる人に伝わる」という白濱自身、SNS発信で、心掛けていることがある。「言葉が上から目線にならないように、誰かの横からすっと投げかけて寄り添えるように。そんな言葉遣いを意識しています」

これまでも一つひとつ、自分の歩む道を取捨選択し、表現者として土台をつくってきた彼女は、これからどんな選択をして行きたいのだろうか。

「自分自身、いろんな方法で実験していきたいです。聴くもの、見るもの、触れるもの、そして読むもの。言葉をさまざまな形に変えて、誰かの選択肢のひとつのきっかけになっていけたら良いですね。これからも発信し続けていきたいです」


らぶり、しらはま・いずみ◎1989年生まれ。ラブリとして雑誌、テレビ、ラジオ、広告などメディアで活動する一方で、近年では自身の内側から生まれる「言葉」を白濱イズミとして表現している。2018年に初めての個展「言葉の記憶 展」、2019年に個展「デジタルと私との関係、私はどうやら数字らしい展」を開催。

文=督あかり 写真=柴崎まどか

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