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2019.10.01

自分の「欲しい」思いが生み出した、「NewsPicks」誕生秘話|ユーザベース 梅田優祐

ユーザベース 梅田優祐


──自分の欲しいという気持ちこそ大事にしろということですね。

欲しいという思いも、「ちょっと欲しい」ぐらいではダメですね。喉から手が出るほど、泣いて喜ぶほど欲しいことが重要です。

そこまで欲しいモノであれば、プロダクトを作る際に気持ちがブレることもありません。

リーマンショックの影響により「SPEEDA」の事業を続けるか悩んだ時も、夜中に一人でまだ完成していない「SPEEDA」に触って「自分がUBS 証券に勤めていた時に、このサービスがあったら泣いて喜んだだろうな」と改めて価値を認識し、自分を奮い立たせていたんです。



「NewsPicks」誕生秘話

──「NewsPicks」はどのような経緯で誕生したのでしょうか?

「NewsPicks」についても、最初は他者の意見は聞かず、自問自答からはじめました。

私は、当時、葉山に住んでいたので、通勤に往復2時間かかっていました。これは、私にとって最高の自問自答の時間です。毎日2時間ほど、強制的に自問自答の時間を確保できるのは貴重でしたね。忙しくて考える時間がとりにくくても、強制的に時間を確保する工夫はとても重要です。

「NewsPicks」を始めた当初は、さまざまなコンテンツをキュレーションし、月額1500円の課金モデルにしていたのですが、すぐにはうまくいっていませんでした。他の人からは、「500円だったら払うのでは?」「コンテンツにはお金を払わなくても検索機能などの課金が成り立つのでは?」といった意見が出るものの、納得できずに悶々としていたんです。

今でも覚えていますが、オリジナルコンテンツへの課金モデルを決意したのは、自問自答を繰り返した電車を降りた直後のことです。ふとコンビニに入り、雑誌『ブルータス』を買いました。その時の自分の何気ない行動から、「今、僕は紙の雑誌だからお金を払ったのではなく、その中にあるコンテンツ自体にお金を払ったんだ。今の『NewsPicks』にはお金を払ってでも欲しいコンテンツがないだけなんだ」と気づかされたんです。発想が切り替わった瞬間でした。

お金を払ってでも欲しいコンテンツが、その当時はスマートフォンの世界、ネットの世界にはなく、コンビニにはあった。それならば、私たちがネットの世界でお金を払ってでも欲しいコンテンツを開発しよう。それには、編集長を採用する必要があるという考えに至りました。

既に「SmartNews」や「Gunosy」などのキュレーションプラットフォームはありましたが、その中で私たちだけオリジナルコンテンツを作り始めるという意思決定をしたのです。

文=下平将人 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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