サンフランシスコ本拠のEmbarkはウェイモがロボタクシーに採用したものと同等の技術を、トラック輸送分野で活用しようとしている。この分野の競合には、TuSimpleやStarsky Robotics、Kodiak、さらにIkeなどがあげられる。
Embarkの共同創業者でCEOのアレックス・ロドリゲスは現在23歳、CTOのブランドン・モックは24歳で、フォーブスの「30アンダー30」にも選ばれている。同社の累計資金調達額は1億1700万ドル(約126億円)に達しており、13台の18輪型大型トラックを運用し、70人を雇用している。
今回の調達はTiger Globalが主導し、DCVCやYコンビネータ、SV Angelらも参加した。混雑した都市部と比較すると、大型トラックの輸送ルートであるハイウェーは自動運転に適した環境といえる。さらに、米国の長距離トラック業界は人手不足にあえいでおり、2017年だけで5万名のドライバーが不足していたとのデータもある。
Embarkは既にロサンゼルスとアリゾナ間で、匿名の顧客向けに商用の自動運転サービスを実施中で、現状では緊急時の対応を行うドライバーが同乗している。同社は今後、レベル4の自動運転を高速道路上で行う計画だ。
今回の調達資金でEmbarkは、高速道路に隣接したエリアに輸送ハブを建設する計画だ。輸送ハブで同社は、近隣の配送センターから集められた荷台車を、自動運転トラックに接続し、目的的地まで輸送する。
ロドリゲスによると、この方式であれば既存の物流センターをそのままの形で活用しつつ、輸送の効率化が可能になるという。「物流企業は貨物の積み換え作業などは従来通り、人手に頼りつつ、自動運転の恩恵を受けられる」とロドリゲスは述べた。
輸送ハブの第一弾は、ロサンゼルスとフェニックスの郊外に建設中という。既にフォーチュン500に選出された匿名の大手企業数社と、Embarkは契約を締結済みという。
「当社が今後建設する輸送ハブは、トレイラーの接続を行うだけではなく、ロジスティクス分野の新たな流れの核となる役割を果たす」とロドリゲスは話した。「最終的なゴールは、輸送の始まりと終わりの部分のみに人力を用い、途中のプロセスを全てロボット化することだ」と彼は続けた。