ビジネス

2019.10.05

10年間好調だった米主要IT5社、今後はどうなる

Chesnot / Getty Images


アップル

驚異的な年間売上と利益にもかかわらず、アップルに対する評価はほどほどだ。理由のひとつには、ティム・クック最高経営責任者(CEO)の下で、同社のイノベーションが途絶えてしまったことがある。クックの代になってからは、iPodやiPhone、iPadに匹敵する画期的な製品は生まれていない。

クックは代わりに、サービス事業に注力している。クレジットカードの「Apple Card(アップルカード)」や、アップルTV、雑誌読み放題アプリ、ビデオゲームのサブスクリプションなどだ。とはいえそれらのサービスは、登録者があまり集まっていないうえに、JPモルガンチェースからディズニーまで、資金が潤沢なライバルが揃っている。つまり、そうした事業にお金をつぎ込むことでマイナスのリターンを生んでしまうリスクをアップルは犯しているのだ。

その上、クックのリーダーシップの下、アップルは戦略的投資よりも自社株の買戻しを優先させている。こうした動きは、投資家にとっては短期的に見て嬉しいかもしれない。しかし、無人自動車やストリーミングサービスなど一連の重要分野において前に進むうえでは、アップルは機会を逃してきたことになる。

アマゾン

アップルと違って、アマゾンは革新的だ。プライム会員と新たなデジタル広告事業によって、今後も大幅な成長が見込めるだろう。同時に、医薬品販売や不動産事業など、参入した他分野がさらなるチャンスを生んでくれる。

しかし、危険信号の兆しは見えている。アマゾンはすべての商品の翌日配達または同日配達を実現すべく、徹底的な取り組みを続けており、物流コストが膨れ上がっているのだ。また、先駆的で大きな収入源でもあるアマゾンウェブサービス(AWS)は、グーグルやマイクロソフトなどとの激しい競争に直面している。

その上、アマゾンが大企業と自社ブランドの商品を優遇し、小規模小売店を軽んじ始めているため、消費者にとっては選択肢が狭まっていることにより、規制当局は同社の販売手法に関心を向けざるを得なくなるかもしれない。そうした事態になれば、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)、ホーム・デポ(Home Depot)、ペット用品大手「Chewy」などを利するだけでなく、潜在的な利益が大きく減ることになりかねない。

ネットフリックス

株価収益率という点では、FAANGのなかで最高評価を得ているのがネットフリックスだ。とはいえ、この先、向かい風が吹きそうな兆候が数多く見えている。

HBOのテレビドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』が終了したとき、視聴者は、特定の番組が終わればサブスクリプションを解約してしまうことが明らかになった。これは、すべてのオンライン・ストリーミング・サービスが抱える問題だ。

追い打ちをかけるように、ネットフリックスはCBSやNBC、ディズニー、HBOなどとの熾烈な競争に突入しようとしている。

ネットフリックスは、首位の座を維持すべく資金を投じており、驚異的なペースで借り入れを増やし続けている。ライバルが迫りくるなかで、そうした姿勢は、会社にさらなるプレッシャーをかけることにしかならないだろう。ネットフリックスの長期的な展望に私たちは期待をかけているが、現時点では評価はいまひとつだ。
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文=Ross Gerber 編集・翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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