ビジネス

2019.10.02 07:30

インスタグラムにおける、インフルエンサーとマーケターの意外な共通点


インスタグラムでは利用者のことをコミュニティと呼ぶのですが、実はインスタグラムの2人の創業者が自分たちの次に雇ったのが、コミュニティマネージャなんです。コミュニティにとって一番良いサービスを作りたいという会社なので、いただいたフィードバックに対して詳しく話を聞いて、より良いサービスにつながるように改善しています。ストーリーズもコミュニティからのフィードバックをいただく中でできた機能なんです。

インフルエンサーもコミュニティの一部であることを考えると、インスタグラム自体がインフルエンサーと一緒に成長してきたと言えるかもしれませんね。

──インフルエンサーからのリクエストで導入した機能などもあるのでしょうか。

2017年以降、テストを繰り返しながら展開しているブランドコンテンツツールは、まさにインフルエンサーや、彼らと協業するビジネス、そしてブランドコンテンツに触れる利用者からフィードバックを得ながら導入した機能です。

インフルエンサーが協業しているビジネスを投稿にタグ付けすることができる機能で、ブランドコンテンツ(PR投稿)であるということを明確にし、透明性を保つことができます。投稿のインサイトはビジネス側からも閲覧できるため、公平な効果測定が可能です。

今年からは、このような投稿を広告として配信したいというビジネスからのフィードバックに応える形で、ブランドコンテンツ広告も提供しています。

──日本の利用者の特徴について教えてください。

最近では、情報検索の一環としてハッシュタグでの画像検索も一般的に使われるようになりました。特に日本ではグローバルの3倍以上、ハッシュタグ検索の件数が多いんです。

「インスタ映え」という現象自体、グローバルの担当者に話すと驚かれます。いろんな情報を画像で検索してインスピレーションを得て、さらに自分の購買行動につなげていくところは、日本が一歩先に進んでいるところだと思います。韓国も担当していますが、使われ方が似ていて、いま、「インスタ映え」や「インフルエンサー」がトレンドになっています。

──インスタグラムで試験的に「いいね」数を非表示にして話題になりました。インスタグラムが目指す未来とは?

「いいね」数をチェックするのではなく、写真や動画というコンテンツの内容自体によりフォーカスしてもらって、ポジティブなインタラクションを起こしてほしいと思っています。そのためのテストの一環ですね。

そもそも、インスタグラムでは「リツイート」ができませんし、「いいね」の数が増えたからマネタイズできるといったモデルにはなっていません。やはり、利用者にとって意味のあるコンテンツを出したいという哲学があるのです。

マーク・ザッカーバーグも言っていますが、今後もインスタグラムを含むフェイスブック社の哲学として、ミーニングフル・インタラクション(有意義なやりとり)を促進するという世界観を大事にしていきます。


中村 淳一(なかむら・じゅんいち)◎フェイスブック ジャパン マーケティングサイエンスノースイーストアジア地域統括 兼 執行役員。2002年、プロクター・アンド・ギャンブル入社、消費者市場戦略本部に所属。「レノア」日本立ち上げのコアメンバーや、「ジレット」担当、店舗営業チャネルシニアマネージャーを経て、13年、シンガポールにてグローバルメディア、アジア地域ビッグデータ担当のアソシエイトディレクターに就任。17年6月にフェイスブック ジャパン入社。慶応大経済学部卒。

構成=林 亜季 写真=小田駿一

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