ビジネス

2019.10.02

インスタグラムにおける、インフルエンサーとマーケターの意外な共通点

フェイスブック ジャパン 中村淳一


一つ目は、まず緻密なターゲティングをしているということ。ともに自分が相対するお客さま、フォロワーを理解しようと努めています。マーケターが顧客第一主義であるのと同様、インフルエンサーにとってはファンというターゲットとビジネス面で広告主というターゲットの両者あるといえます。

二つ目はしっかりポジショニングをしているという点。インフルエンサーのポジショニングは、自分らしさや強みを出し、ブレない独自性や世界観を打ち出していくという、利用者に対してのポジショニングと、その世界観に合わせて仕事をしっかり選ぶという、ビジネスに対してポジショニングの両方を、精緻にやっているのです。

三つ目はチャネルに対する理解と適合性。デパート、ドラッグストア、EC……マーケターはどのチャネルをどう活用するか、戦略的に考えます。インフルエンサーの方々も、「私はどこでどう闘うか」ということを常に考えています。「ここが主戦場」と決めたら、貪欲にそのチャネルについて学び、新機能が出たらいち早く試すなど、フィットさせ続けていますね。

──やはりマスメディアで活躍する芸能人のアプローチとは少し違いますね。

やはりSNS、インフルエンサーはマスマーケットではなく、個人間の「共感」をベースにしているんですよね。出したいメッセージを打ち続ける一方通行ではなくて、共感される、要するにインタラクション(双方向のやりとり)ができるかどうかが問われます。エンゲージメントが取れるメッセージを打ち続けていくのが大事です。

数十万人のフォロワーを抱える方でも、きっちりコメントを返す方もいます。一対数十万ではなく、一対一の関係が数十万、と考えるんですよね。インフルエンサーであり続けるには、不断の努力が必要だと思いますね。

──インスタグラムの魅力って何でしょう。

テキストベースのコミュニケーションがメインだったガラケー時代から、情報通信も速くなり、写真や動画も処理できるようになりました。インスタグラム自体、スマホの普及とともにテキストからビジュアルにコミュニケーションの主流が移行していく傾向を牽引してきました。「インスタ映え」は社会現象になりました。

写真は言語に依存しないので世界とやりとりできます。グローバルな価値観が広まり、「多様化」や「個の台頭」を加速させたと考えています。 

さらなるブレイクの契機となったのは、「ストーリーズ」機能。当時、「インスタグラム=映える写真や動画を投稿するところ」というイメージが強調された結果、写真や動画をポストすることに緊張してしまう、構えてしまうといった意見を反映し、24時間で投稿が消える機能を設けたところ、カジュアルなコンテンツが増え、世界的なグロースにつながりました。
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構成=林 亜季 写真=小田駿一

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