ビジネス

2019.10.03 16:00

切り札は「人材改革」 介護現場の課題解決を目指す

Join for Kaigo代表 秋本可愛

Join for Kaigo代表 秋本可愛

厚生労働省の推計によると、2025年度に介護人材は約38万人が不足すると言われている。なり手は増えているものの、飛躍的に伸びるニーズに追いついておらず、人材育成や処遇改善、離職防止といった課題が山積みだ。
 
秋本可愛のJoin for Kaigoは、「人材改革」によって介護現場の課題解決を目指す。介護人材の若手コミュニティ「KAIGO LEADERS」の運営や介護団体のための人事育成、採用コンサルティングなどを展開。
 
秋本が起業を志したのは、大学生の時。訪れた介護現場で、「生きているのが申し訳ない」という入所者の言葉に衝撃を受けた。介護をめぐる問題は複雑で1人では解決できない。ならば、行動できる「次世代リーダー」を増やすしかない。卒業後、就職せずにすぐに起業した。
advertisement

しかし、閉塞感が漂う業界はすぐには変わらない。起業2年目で「本当に現場にインパクトを与えられているのか」と悩んだ。事業内容が今の形になったのは「マイプロジェクト」との出会いがあったからだ。起業家育成のプログラムでもよく使われる教育手法で、仲間との対話を通じて自分の「コア」を磨き、実際の行動に結びつける。「これが自分と介護現場に必要だ」と気づいた。

KAIGO LEADERSは、ボランティアメンバー約50人が運営。介護分野の第一線の講師を招いたイベントを開催し、マイプロジェクトのワークショップを実施、これまでに述べ3,200人が参加した。運営メンバーの多くは起業家として旅立った。

「私たちの地域でもやりたい」。そんな若手の声に応えようと、20年までに全国8都市に拠点を拡大する計画だ。「人が変わる瞬間を見るのがすごく楽しいですね。日本中にいる熱いプレーヤーたちをつなげたら、あまりに可能性にあふれた世界が待っているんじゃないかと思います」
advertisement


あきもと・かあい◎Join for Kaigo代表。1990年生まれ。山口県出身。大学生の時にフリーペーパー「孫心」を発行し、2011年に全国の学生フリーペーパーコンテストにて準グランプリを受賞。大学卒業後の13年に同社設立。「KAIGO LEADERS」を運営。19年に第10回若者力大賞受賞。

文=成相通子 写真=帆足宗洋

タグ:

連載

イノベーション女子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事