さらに、査証や入国の手続き、学校、ジム、語学学校、保育園など、決めなければいけない重要事項はいろいろある。
会社が赴任サポートを用意してくれる場合もあるだろう。そして現地では新しい仕事に慣れる必要があり、職場の環境によっては現地職員に歓迎してもらえないかもしれない。赴任に当たっては準備が必要だ。
仕事に関する準備としては、現地の企業文化についてできる限り勉強しておくこと。つまり、現地組織の役員が持つ特徴や期待、そしてその組織の歴史を学ぶことだ。企業文化は恐らく、自社と現地の文化が混ざり合ったものになるため、その違いに驚かされる覚悟をしておこう。役員とのランチやコーヒーの予定を組み、相手のことを個人レベルで知る努力をし、組織の成功に最大の貢献をするための方法についてアドバイスを求めよう。
組織によっては、相手が現地の出身者である場合も、自分と同じ外国人(あるいは現地に永住する外国人)である場合もある。いずれにせよ、現地のやり方や、誰が何を期待しているかを知ることが重要だ。役員のアシスタントのことを知る努力もしつつ、初めの数週間で一緒にランチに行ける同僚を見つけよう。さもないと独りきりになってしまう。
また、家族や親戚、幼馴染など、長く関係を持ってきた人々が組織内の各部に散らばっている可能性が高いことも念頭に置いておくべきだ。そうした人々は深い忠誠心や、非公式な連絡経路を持っているため、社内情勢が理解できるまでは注意を払うこと。
外国人の赴任を皆が歓迎しているわけではない場合、残念ながら冷たく迎えられる可能性を覚悟しておく必要があるかもしれない。私自身にも経験がある。これは特に、女性がリーダー職に就くのが一般的ではない文化圏で、赴任した外国人女性が現地の男性の仕事を「盗んだ」とみなされるような職場で起こることだ。また、どの組織にもあることだが、あなたの役職を欲していた現地職員から忌み嫌われてしまう可能性もある。
まずは、現地の組織とその文化を理解することに注力しよう。そうすれば、成果につなげる方法や、うまく立ち回る方法が分かるだろう。私はこれまで、組織と文化のダイナミクスを事前に理解しないまま物事を強引に押し進めようとして失敗した人を多く目にしてきた。