外国人が「もう一度泊まろう」と誓う日本のホテル6選

ホテルキーフォレスト北杜(小淵沢・山梨県)


ここは単なる宿泊施設ではない。もちろん客室はある。正確には28部屋だ。しかしここには、最新のサイクル用品が手に入るショップと、移動しながら手早く食べられるカフェやレストランもある。明らかに空間の中核をなすのは「サイクリング」であり、その精神は、レイアウトや風変わりなインテリアデザインから食事に至るまで(夕食を手に入れるためにペダルをこがなくてはいけない!)、すみずみまで行きわたっている。

何よりも印象的なのは、実用的に設計された空間であることだ。このホテルの最もユニークな特徴のひとつが、「サイクルスルー」チェックインができることだ。すべてのベッドルームには、使っていない自転車を掛けるためのフックが付いている。バスルームはすべて外壁に沿って配置されており、これが自然光と寝室スペースとの間の障壁として機能している。ビジネス旅行者には役に立たないが、しっかりと眠ってエネルギーを補給したいサイクリストには最適なデザインだ。

6.星のや(東京都)



星のや

東京のホテルを1つも挙げずには、この原稿は完成させられない。東京は間違いなく、クールな建築の世界的な震源地だ。このリストに載ることができたホテルが多数あるが、最近大きな注目を集めているのが「星のや」だ。2016年に開業した際には東京初の「高級高層旅館」との賛辞を浴びた。

星のやを設計した東利恵(東環境・建築研究所)は、市場のギャップを見据えてこのデザインを生み出したが、彼女のビジョンは報われたようだ。ホテルは、2017年に「AHEAD グローバスアワード」の「ベスト・ニュー・コンセプト賞」と「ジ・アジア・ホテルデザイン・オブザイヤー賞」を受賞し、「コンデナスト・トラベラー2018 ゴールドアワードの『世界のお気に入りホテル』」に選ばれた。東京でぜひ滞在したいホテルと言ってよいだろう。

星のやは、独立した超高層ビルという形状によって、周囲に違和感なく溶け込んでいる。しかし、周囲のオフィスビルの高級な外観に足並みをそろえるデザイン設計でありながら、ゆるぎない自信と確固たるアイデンティティを毅然とたたえている。

とりわけ興味深いのが、伝統的な着物の模様に似せてデザインされた複雑な黒格子金属細工の外観だ。近代的なエクステリアに日本文化の典型的な伝統的要素をさりげなくとじこめている。デザイン性のみならず、客室同士や真向かいにあるオフィスとの目隠しとしての機能もある。

星のやリゾートのホテルへの期待を裏切ることなく、全体的な外観と雰囲気には、圧倒的な高級感があると同時に、細部への完璧な注意が払われている。 都会という立地と建物の規模の大きさにもかかわらず、伝統的なコンセプトが隅々まで保たれている。各フロアは、畳と無垢の木工品を備えた「ミニ旅館」のように設計されており、一流の不動産の内部に旅館の快適な要素をすべて備えている。 そして圧巻は、ホテルの地下1000mから汲み上げられる天然温泉を使った最上階の高級温泉だ。これはおそらく、星のやリゾートの数あるデザイン機能の中で最も印象的なものだろう。他の建物から中がのぞけないように、湯舟は高い壁で囲われ、空に向かって開かれている。

建築を発見する旅に出たいという気持ちになっただろうか? こんなホテルに予約をして、日本を探検するセルフガイドツアーをしてはいかがだろう。

翻訳=鹿田昌美 編集=石井節子

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