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2. ホテルキーフォレスト北杜(小淵沢・山梨県)



ホテルキーフォレスト北杜

このホテルがどこか少し特殊であることは、デザインの専門家でなくてもわかる。建物は、静謐さをたたえる小淵沢の森に囲まれた、コンクリート造りの堂々たる前衛的な外観が、周囲の穏やかな環境と鮮やかな対照をなしており、地元のランドマーク的な存在感を放っている。

しかし一見した印象とは裏腹に、この建物には地元の歴史と密接な関係がある。地域の先史時代の縄文の歴史をコンセプトに取り入れ、幾何学的な形状を採用し、天然素材を使いたデザインなのだ。設計を手がけたのは、日本の著名な建築家である北川原温だ。

驚かされるのは、ギザギザの外観だけではない。敷地には世界有数の個人所有の美術館があり、有名なNYのストリートアーティスト、キース・ヘリングの作品が多数展示されている。一見不思議な組み合わせだが、よく見ると、ヘリング作品が描く鮮やかでデフォルメされた人物像は、縄文時代の土器や彫刻に驚くほど似ている。彼のアート作品が東京ではなくここに所蔵されているのは、そういうわけなのだ。小淵沢は驚きに満ちている!

客室がわずか6室しかなく、ホテルのサイズは控えめだが、スケールに欠ける分は間違いなくスタイルが補っている。すべての部屋が個別にデザインされており、内装は建物の外観をていねいに模していると同時に、山梨の自然の美しさが映えるように工夫されている。このホテルにもっともふさわしい表現は「高級ブティック」かもしれない。

3. 雲の上ホテル/ユスハラ・マルシェ(梼原町・高知県)



雲の上ホテル/ユスハラ・マルシェ

私は昨秋の四国旅行で、偶然に「梼原(ゆすはら)」という町を見つけた。高知県の山に囲まれた、一見目立たない小さな町だ。しかし第一印象は裏切ることがある。ここが平均的な日本の山あいの町ではない最初のしるしは、町の総合庁舎「ユスハラ・マルシェ」だ。

設計したのは、国際的に名の知れた日本の建築家、隈研吾(2020オリンピックスタジアムのブレイン)だ。印象的な木製の建物は、隈の建築スタイルのすべての特徴を有している──モダンなデザインでありながら、自然環境の美しさと完全に調和しているのだ。建物の3面に木材を使い、1面がわらぶき屋根になった建物は、シンプルかつ美しく構造化され、見る人の好奇心を誘う。

この建築物がここにあるのは偶然ではない。梼原は林業に根ざした歴史を持つため、この建物は地元の文化遺産へのオマージュなのだ。それだけではない。梼原は近年「日本で最も先進的な町」との評判を有し、再生可能エネルギーとサステナブルな建築設計の先導役になっている。現在、町のエネルギー自給率は約30%であり、2050年までに100%を目指すという野心的な計画が進んでいる。

ユスハラで発見できる驚きは、これだけではない。 少しのぼって丘の中腹まで行くと、隈研吾が設計した町一番のホテルがあり、ここには、「雲の上ホテル」という名前のとおりのコンセプトが、デザインの端々にまで織り込まれている。高台に建つ飛行機の翼のようなデザインのホテルからは、周囲の山と谷の素晴らしい景色が楽しめる。

流線形のなめらかな曲線の屋根が周囲に溶け込み、まるで雲のようにも見える。メインのアトリウムは明るく、風通しがよく広々としており、床から天井まではめこまれたガラスが自然の風景を写し取る。自然とのつながりと連続性を感じさせる空間だ。

翻訳=鹿田昌美 編集=石井節子

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