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2019.10.01 08:00

サラリーマンでも発信者になれる。企業内インフルエンサーを歓迎せよ

徳力基彦氏(写真=小田駿一)

インフルエンサーという現象は一部の特別な存在にとどまらない。誰にでも門戸が開かれているところに、インターネットの面白さがある──。

そう訴えるのは、アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダーとピースオブケイク noteプロデューサーを兼任するブロガー、徳力基彦氏だ。

Forbes JAPANは、9月25日発売の本誌で「WHO IS THE TRUE INFLUENCER?」と銘打ち、8人の識者をアドバイザリーボードに迎え、トップインフルエンサー50人を初めて選出した。

インターネットの20年をウォッチしてきた徳力氏の経験と論考を、約1万字のロングインタビューでお届けする。


──インフルエンサーという現象はインターネットやSNSの歴史とも深く関わっていると考えられます。ネットの世界で活躍されてきた自身の経験を振り返ってください。

SNS以前に、ブログの登場によって個人がインターネット上で影響力を持つ下地ができたと考えています。僕はもともと、新卒で入社したNTTを飛び出して、ベンチャー企業のマーケティングマネージャーになったものの仕事がうまくいかず、クビになりそうになっていたところをブログを始めたおかげで首がつながった、という経験があるんです。2004年頃のことです。

当時、ブログによって個人でも情報発信ができるようになったのが、すごく衝撃でした。後に『ウェブ進化論』を書くことになる梅田望夫さんがブログを書かれていて、僕の中では梅田さんがインフルエンサーだったんです。梅田さんは毎日ブログでみんなを議論に巻き込んでいました。

僕もブログを書くようになり、もう死語ですが「トラックバック」機能によって、梅田さんに自分の記事を読んでもらいたい、梅田さんのブログから僕にリンクしてもらいたいと思って、一生懸命、梅田さんの出すお題に対して議論をふっかけていました。

僕が特に感動したのは、梅田さんのオフ会に参加した時に、著名人の講演会に比べて非常に距離が近く、非常にフラットなコミュニケーションができたことです。また、隣に座っていた人が僕のブログを読んでくれていたんですよね。それがすごく衝撃でした。

僕は梅田さんの話を聞きに行っているのだけど、梅田さんも僕のブログを認識してくれていたし、参加者の人でも僕のブログを知ってる人がいて、インターネットの「フラット」さがよく分かったんですよね。僕も発信者なんだと自覚しました。

──ブログの登場で、誰にでもインフルエンサーへの道が開かれるようになったということですね。

マスメディア時代は、情報発信ができる人って、権利みたいなものだと思っていました。テレビに出ている芸能人やメディアの記者や、会社を成功させた経営者など、そこにたどり着くためには特定の会社に入るか人生で成功して、「あなたはしゃべっていい」と言われた人が初めて発信できるんだ、という思い込みが当時、僕はあったんですね。

例えば、NTTの社員で本を書いたり情報発信をしたりといったら、よほどトップにいかないとできない。6年で会社を辞めた人間がメディアとして発信ができるようになるって、僕の中では革命的でした。
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構成=林亜季、写真=小田駿一

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