選び方が変わる!見た目も見え方をも左右する眼鏡の「掛けこなし」とは

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眼鏡は見え方をサポートする器具であり、またファッションアイテムとしての要素もある。そのどちらの観点からも重要なのが、眼鏡の「掛けこなし」だ。スーツの着こなしのように細かなセオリーがあるわけではないが、じつは眼鏡にも正しい掛けこなし方がある。この掛けこなしを疎かにするがゆえに、もったいない状態に陥っている人が少なくないように思う。

眼鏡の掛けこなしにおける最も重要なポイントは、“適切な位置で掛ける”ということだ。レンズの上下幅に対して、黒目が中央にくるように掛けること。見た目について言えば、これが理想的な掛け位置となる。レンズの上下幅がやや長めの眼鏡の場合は、中央よりも少し上にくるぐらいがちょうどいいだろう。

その位置よりもずり下がっていたり、もしくは上がり過ぎたりしていると、本来は似合う眼鏡であっても間抜けな印象を与えかねない。服の着こなしがどんなにキマっていても、印象は台無しだ。「私は眼鏡が似合わない」「今掛けている眼鏡が、なんだかしっくりこなくなってきた」という場合、じつは掛け位置に起因していることも多いのだ。

眼鏡がずれると見え方にも影響が

「見た目はさほど気にしないから問題ない」という人もなかにはいるだろう。しかし、掛け位置は見た目だけでなく、見え方にも大きく影響を及ぼす。

というのも、眼鏡のレンズには中心に「光学中心」といって、光学性能を最も発揮する部分がある。そのため眼鏡を作る際には、フレームを適切な位置に調整したあと、「アイポイント」といって眼の位置を測定し、単焦点レンズであれば光学中心と黒目の位置を一致させて作成している。また、遠近両用の累進レンズなどその他の設計においても、設計に応じて光学中心と黒目の位置を最適化させて作成している。それが良質な視界を得るためには欠かせないからだ。

また、近年は適切な位置でフレームを掛けたあとに、iPadなどに装備された3Dスキャナーを用いて眼とフレームとの距離やフレームの前傾角、カーブなどを測定し、その数値をレンズの設計に反映させ、見え方を最適化するレンズも登場している。レンズについての詳細な説明は割愛するが、ここで言いたいのは、せっかく見え方においてパーソナルフィットする眼鏡を作ったとしても、ずれてしまうとその性能を十分に発揮できないということである。より良い「見た目」と「見え方」を保つためにも、正しい位置での掛けこなしは重要なのだ。
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文=伊藤美玲

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