筆者が確認したところ、15億ドルという金額は正しいようだ(リミテッド・パートナーにはよくあることだが、プロトキンとサンドヘイムがホーネッツに対して支払った株式購入額は、価値を15億ドルとした場合よりも下回る可能性が高い)。
しかし、ジョーダンが筆頭オーナーになった際のホーネッツの価値が2億8000万ドルだったという件については、前述したように、正しいとは言えない(筆者が裏付けをとった数字は1億7500万ドルだ)。2億8000万ドルという額は、営業損失が出た場合に補填する約束を含むものだ。
こう考えてほしい。住宅を購入し、前の所有者に30万ドル払ったとする。しかしその家は、壁の塗り替えやカーテンの購入、庭木の手入れ、車庫のドアなど、大幅な手入れや改装が必要だった。結局、購入してから3年間で、さらに5万ドルを注ぎ込んだとしよう。とはいえ、正式な売買記録上では、購入価格は30万ドルであって、35万ドルではない。
要するにホーネッツの価値は、ジョーダンが筆頭オーナーになってから757%も上昇している。それにひきかえ、株式市場の上昇率はわずか160%だ。ジョーダンはホーネッツに投資したことで、S&P500に投資するのと比べて4.7倍の結果を出したわけだ。
株式を購入すれば配当金が払われる。それは、儲かるバスケットボールチームを購入した場合も同じだ。ジョーダンが最初にホーネッツの経営権を取得した際、チームは多額の損失を出していた。しかし、ホーネッツはここ数年でかなり儲かるようになり、その間に計上した営業利益(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の総額は、私たちの概算では5200万ドルに上っている(アリーナでのNBA非関連イベントを含む)。
つまり、ホーネッツ株式売却によるジョーダンの税込利益は7倍以上だったことになる。これこそ、「安く買って高く売る」だ。