ナイキが24日に発表した第1四半期決算(6〜8月期)は、売上高と利益がともにアナリスト予想を上回り、株価は5.5%の急騰となった。ナイキの株価は年初から18%近い上昇となっている。同社はスポーツ用品やストリートファッション分野で主要なポジションを確立しており、製品のイノベーションやEコマースへの投資が成長をもたらした。
米国の証券会社ジェフリーズのアナリスト、Randal Konikは「ナイキのデジタル部門への投資は着実な成果をもたらしている」と述べた。デジタル経由の売上は前年比42%増で、ナイキはアプリやオンライン部門への投資を続けている。
ナイキは既存の小売店に依存するビジネスモデルから、Eコマースなどの直接販売モデルに移行を進めている。同社の直近の決算内容は、米中の貿易摩擦の高まりを物ともしない結果となった。グローバル売上は前年比7%増の107億ドル(約1兆1500億円)に達し、アナリスト予測を上回った。中国での売上は前年比22%増の17億ドルだった。
ブルームバーグのデータではウォール・ストリートのアナリストの70%以上が、ナイキに「買い」評価をつけている。ナイキの最大の競合とされるのがアディダスだが、モーニングスターのアナリストのDavid Swartzは、フォーブスの取材に「アディダスは市場シェアをナイキに奪われている」と述べた。
Swartzによると、中国の地元勢力では最有力とされるANTAも、ナイキやアディダスには追いつけていないという。2020年には東京五輪が開催されるが、それもナイキの成長を後押しすることになるとSwartzは述べた。
決算発表でナイキCEOのマーク・パーカーは、スポーツ用品への需要は世界中で高まっていると述べ、特に女性向けのプロダクトが2桁台の伸びとなった点を強調した。「需要の高まりは、私がCEOに就任して以来、最大の規模になっている」とパーカーは話した。
ただし、ここで注目すべきは一部のアナリストからナイキのバリュエーションが、競合と比べて割高だとの指摘があがっていることだ。ジェフリーズのKonikによると、ナイキの株価収益率は32.5だが、アディダスは29.5だという。
ナイキが現在の評価額を正当化するためには、今後数年にわたり成長を続ける必要があるが、現在のモメンタムが維持できればそれは不可能ではないという。Konikによると、ナイキの直近の決算内容は、その方向に向かっているという。Konikはナイキのブランド力を高く評価し、目標株価を97ドルとしている。