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マイルドに仲介する科学で「ひもをほどく」

笹原氏の目下の研究活動の動機は、「ソーシャルメディアがもたらした問題の解決」だ。

計算社会科学の分野ではよく知られるソーシャルメディアの問題点として、「エコーチェンバー現象」がある。閉鎖的なコミュニティー内で皆と違う声を発するとそれはかき消され、同じ声を発すると増幅されて返ってくるという現象だ。つまり、SNSでつながる相手は自然、「自分と似てしまう」のだ。


SNS上でエコーチェンバー現象が起きる様子。時時刻々、赤(同じ意見)は赤へと、青(同)は青へと収束していくことがわかる(注2)https://osome.iuni.iu.edu/demos/echo/ より再録

またソーシャルメディアは、「自分が信じたいものを信じる傾向(確証バイアス)を助長するシステムである」という弊害もある。つまり、SNS空間を放置すれば、同意見をもつ人々は固まってしまう傾向があるのだ。さらに、同意見をもつコミュニティの中核に存在するインフルエンサーの力が単に巨大化すれば、多様性がより失われる可能性もある。つまり、内集団・外集団、敵・味方という対軸関係や社会的な「軍団」をも生じさせ、意見の分極を増幅する側面がSNSにはあるというのだ。


情報拡散に関わる結合メディアとテクノロジー・ネットワークに関するインディアナ大のジョイントプロジェクト「OSoMe(オウサム、笹原氏も共同研究者として名を連ねる)」が開発したツール上で、期間に「9/11〜9/22」、クエリに「#前澤社長」と入力した結果。クエリに入力したハッシュタグを含むツイッター上のツイートが、他のどんなハッシュタグと紐づいて拡散されているかが視認できる(注3)。https://osome.iuni.iu.edu/demos/echo/ より再録

「そこに科学でなんらかの介入をし、同質者同士を結ぶ『紐帯(ちゅうたい・個人同士を結びつける条件)』をほどいて、多様性に富んだ、新しいつながりを促すシステムをつくりたいんです」

具体的には「ポリフォニー(たくさんの声)」というプラットフォームを開発中だ。そこでは「つながり」というタブを押すと、わざと少しだけ「好みをずらした」何人かが推奨されるのだ。さらにその人と自分の相性は「音」で聞くことができる。「いいつながり」になる可能性のあるペアには、心地よい音が鳴るという。

文=石井節子 写真=小田駿一

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