ビジネス

2019.09.27

世界10都市に向けてピッチ。新たな舞台に挑む5人の日本人女性起業家

右からWiSE24のピッチに登壇したStroly高橋真知、キャリーオン長森真希、ファーメンステーション酒井里奈、ALE岡島礼奈、ZEST伊藤由起子



会場でのピッチは、世界10都市に向けてオンライン中継された

張り詰めた緊張感が漂うオンライン中継の後は、日本オリジナル企画として、今回のピッチ登壇者たちのアドバイスも行った澤 円(さわ・まどか)日本マイクロソフト業務執行役員 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長による一流のプレゼンテーションを行うためのレクチャー、さらにその後はピッチ登壇者5人が「自分でデザインする人生」をテーマに、パネルディスカッションも行った。
 
パネルディスカッションでは、それぞれが「起業」という道を選んだ理由について披露。日本で第一号の女性プログラマーと呼ばれ、過去に様々な事業の立ち上げを行ってきたZESTの伊藤由起子氏は、「はじめの会社を起ち上げた約30年前は、男女雇用機会均等法もなく、女性はコンピューターを触ってはいけない、と言われている時代。できるかできないかは関係ない。『やりたい』というのが一番の理由だった」と話した。

また、大学で天文学を専攻したALEの岡島礼奈氏は「基礎科学を何とか発展させる方法はないかとずっと考えていた時に、流れ星のビジネスをすれば科学の発展もするし、プロフィットも得られるのではないかと思った」と話すなど、各々異なるアプローチからの起業のきっかけや女性リーダーとしての考え方を話し、等身大の目線で来場者の女性起業家やその卵たちを勇気づけていた。


暖かい目線で5人の女性起業家を見守る来場者たち。会場は東京都港区のForbes JAPANイベントスペース

今年3月、米オースティンで開催された米国最大級のイノベーションの祭典、サウスバイサウスウエストのピッチファイナリストとして登壇し、本イベントでも英語による世界の舞台でのピッチに挑戦することの重要性をキーノートで語った高橋真知氏は、イベントを振り返って、「日本はまだまだ女性の起業家の数は少ないし、事業を立ち上げても仲間を増やしたり資金調達を得るネットワークに入っていけていないという実情があり、資金調達やビジネスの大きなスケールが難しかったりする。また、『場』が与えられなくてリーダーシップを発揮できない場合もある。場に入ったり、場を与えられて成長するということは重要」と話した。

主催者でWomen’s Start up Lab CEOの堀江氏は、「今まで『グローバル』というと外国へ出向いてネットワークをつくる、というものばかりでしたが、今回の試みは現地にいながら海外のレベルで闘う緊張感を体感することができるという点で画期的でした。コミュニティ全体のスタンダードがぐっと上がったように思います。世界のどこの国でも女性に関する問題はあり、その一つ一つの文化を変えていくにはとんでもない時間がかかります。それよりも、それぞれの国の優秀な人たちを世界の舞台でつなげ、女性の地位、女性起業家の可能性を加速させたいと思っています」と語った。

次回は2020年開催予定とのこと。女性起業家の考え方は小さい、スケールできないものばかりだ、というバイアス(偏見)がまだまだ存在するなか、世界とつながり、一流の場を与えられることによって成長し、ビジネスとしてスケールし、そのバイアスを気持ちよく壊してくれる女性起業家の登場を期待したい。

文=岩坪文子

ForbesBrandVoice

人気記事