発言するグレタ・トゥンベリ(9月20日、ニューヨーク)(Roland Marconi / Shutterstock.com)

国連気候行動サミットでの16歳のスウェーデン人環境活動家グレタ・トゥンベリの演説を受け、ドナルド・トランプ米大統領は23日夜のツイッター投稿で、演説の動画を共有した上で「彼女は、明るく素晴らしい未来を楽しみにしているとても幸せな若い女の子のようだ。とてもうれしい光景だ!」と皮肉った。

トランプのツイートは、世界の指導者らが「私の夢や子ども時代を空虚な言葉で奪った」というトゥンベリの演説に対するものだ。トゥンベリは「私たちは今、大量絶滅の始まりの最中にいる」とし、「あなた方はよくも、現状維持と何らかの技術的解決策だけでこれを解決できるかのように振る舞えますね」と訴えた。

演説の中でトゥンベリが「幸せ」そうに見えた場面は一度もない。トランプのツイートは、トゥンベリと気候変動問題を真剣に捉えず、彼女とその活動をおとしめるものだ。

トゥンベリは、先週に世界規模で行われた若者主導の抗議活動の火付け役として広く知られている。

トランプのこのツイートは、トゥンベリが演説で訴えた重大性と危機感に対して不適切であるだけでなく、彼女のアスペルガー症候群に対しても極めて無礼な侮辱の言葉だ。

米FOXニュースの番組に出演した評論家マイケル・ノウルズは、トランプのツイートの直後、トゥンベリを「精神的に病んだスウェーデンの子ども」と呼んだ。FOXニュースはこの発言を謝罪し、今後ノウルズを番組に出演させないと表明した。

トゥンベリは今月、ニュース番組「CBSディス・モーニング」で、アスペルガー症候群は人々に単刀直入にメッセージを伝えることができるため、自分の「超能力だ」と語っている。アスペルガー症候群の人は社会規範になかなか気づけないため、トゥンベリは議員や政府関係者に対し堂々と意見を述べられる。

トゥンベリはCBSに対し「型にはまらない考え方ができる人、他とは違う人が必要だ」「これは強みになる」と語った。

障害がある人は長い間、子ども扱いされてきた。障害者は一般的に、社会から哀れみと同情を持って認識されることが多い。こうした扱いは、特にアスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムの当事者が経験している。

障害者は何も達成できない劣った存在だとする考え方は、文化や社会に根強く残っている。この誤解に対しては、障害者のコミュニティーが声を上げることによって広く否定されるようになったものの、トランプが23日夜に発信したようなツイートは大きな後退となる。

世界の他の地域では、トゥンベリの活動が具体的な変化を生んでいる。欧州委員会のユンケル委員長はトゥンベリと面会後、今後7年間で欧州連合(EU)の予算の4分の1を気候変動対策に充てることを約束した。また、英議会はトゥンベリの訪問後、「気候非常事態」の宣言を決め、2050年までに炭素排出量をゼロにすることも宣言された。

しかし米国では、トゥンベリの活動や言葉はトランプ大統領だけでなく、他の政治家やニュース評論家からも真剣に受け止められていない。トゥンベリへの反応は、米国での障害に対する認識が世界の他の地域ほど進んでいないことを露呈している。障害者は米国で今でも軽視され、子ども扱いされているのだ。

実年齢よりも大人びたトゥンベリは、トランプ大統領の屈辱的なツイートにも屈せず、それを茶化す余裕を見せた。トゥンベリは自身のツイッターアカウントのプロフィール欄を一時、「明るく素晴らしい未来を楽しみにしているとても幸せな若い女の子」に変更した。

編集=遠藤宗生

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