ビジネス

2019.09.26

小嶋陽菜 x BASE鶴岡裕太「リアルじゃなきゃ、愛されない」──ミレニアル世代の「ブランド論」

(左)BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太 、(右)Her lip toを運営する小嶋陽菜


──鶴岡さんはBASEでもさまざまなブランドを見ていると思いますが、小嶋さんのブランドについてどうお考えですか。

鶴岡:「自分のブランドを持つ」って、いろんな意味合いがあると考えていて、単純に金銭的訴求だけでない、何らかの付加価値を持っているブランドが多い。ライフスタイルやものに対するこだわりなどアプローチはさまざまですが、世界観をしっかり追求できているブランドほど強いし、長く続いていくのだと思います。

小嶋さんはその点、「こうすれば売れる」みたいなことを言っているのを聞いたことがないし、純粋に自分の作りたいものや好きなものを追求しているからこそ、ブランドとして順調に成長しているのでしょう。普段から「次にどんなものを作ったら、Her lip toを好きでいてくれる人たちが喜んでくれるだろう」と考えている。

僕なら「そんなに人気なら、もっと作ればいいじゃん」って思ってしまうけど、そういうレイヤーじゃないところでものづくりしていますよね。そういった意味ではまさにD2Cっぽいし、いまはそういうブランドでなければ生き残っていけない、多くの人に愛してもらえないんだろうな、と感じます。

小嶋:やっぱり、本当に自分が着るものじゃないとオススメできないし、リアルかそうでないものかは、みんなもすぐにわかると思うんです。自分で着るものとして考えると、生地を選ぶ時も素材の良さを重視してしまうので、コスト的には高いものになってしまいます。

日本製はやっぱりすごく良いんですよね。だから、店舗がないぶん生産工程を工夫してコストを抑えて、品質の良いものをお届けしようとしているんです。



──オンラインで運営されてきたHer lip toですが、伊勢丹新宿店でこれまで二度にわたってポップアップショップを開いていらっしゃいますね。

小嶋:オンラインだからこそ実店舗がとても大事というのは、この1年ですごく感じました。SNSをチェックしてみると、「どんな素材を使っているのか、実際に触ってみたい」「自分の体に合うかフィッティングしたい」という声が多くて。それに、オンラインで買うことに慣れている世代からすると、D2Cブランドとしては比較的値段も高いほうなので、実店舗でそれ以外の世代の方にも知っていただいて、信頼を作って買ってもらえるのも良い機会です。

Her lip toにとってポップアップショップは大切な場所。これからも定期的にやっていこうと考えています。
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文=大矢幸世 写真=伊藤圭

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