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一方で懸念されているのが一部のステルスマーケティング、いわゆるステマ問題である。プロモーション投稿と明記せず、対価を得て商品やサービスを宣伝する投稿を行うステマへの懸念は、アドバイザリーボードの中からも寄せられた。

米国では連邦取引委員会(FTC)が企業やインフルエンサーにたびたび警告文を送付しているといわれている。そのほかにもフォロワーの「水増し」問題など、懸念は絶えない。プラットフォーマー側もAIと人の目を組み合わせて不自然なアカウントを特定するなど、健全化への努力が続く。

ネットはリアルとリンクする。あなたは楽しめるか

インターネットは、かつてその匿名性がギークな魅力を醸していた時期があった。2000年代後半からツイッターがオープンな会話を促進し、フェイスブックが実名化を加速させ、インスタグラムがセルフィーを、ユーチューブがムービーの公開を促した。

特に国内では匿名が前提とされていたインターネットの世界が、SNSによりリアルな個人と紐づいていった。かつては作家やクリエイター、編集者やライターなど、限られたプロフェッショナルのみが発信者だったが、誰もが発信者となり、その結果、より多くの支持を集める発信者が誕生した。

最近では国内でも所属や実名を明かし、SNSやブログなどで発信する個人が一般的になった。SNS上でのアウトプット次第で、副収入やキャリアアップも叶う。多様な生き方の象徴ともいえる現象である。

学研ホールディングスが全国の小学生を対象としたアンケートをまとめた「小学生白書Web版」の「将来つきたい職業ランキング」で、17年、それまで圏外だった「ユーチューバーなどのネット配信者」が4位として初めてランクイン。翌18年にはランクを上げ、3位となり、子どもが憧れる「職業」として認知されるようになった。

言語情報や聴覚情報よりも、話し手の表情や態度などの「視覚情報」が聞き手に与える影響が最も大きいことを示した「メラビアンの法則」を踏まえても、動画で配信する発信者がよりフォロワーの心をつかみやすいと言えるのかもしれない。ネットワーク環境も向上し、今後動画による配信の比重は増加の一方であろう。



一方で「インフルエンサー」と自称するのは、ある種のためらいが伴うことも事実だ。今回の選出にあたっても、「自分はインフルエンサーではない」と言う対象者もみられた。プラットフォーム上の発信者であることを示す「インスタグラマー」や「ユーチューバー」と違い、インフルエンサーかどうかは、影響を与えているかどうかという結果であるためだ。

数字を追い過ぎると投稿の過激化や炎上の危険性もあるが、一言のつぶやきや日常のスナップも含む一つひとつのアウトプットに対し、どれだけの「いいね」を集め、どれだけの人にリーチしたか、といった詳細なインサイトを得られる時代も初めてのことなのではないか。

個人の発信に対し、詳細に数的な結果が出る時代。あなたは果たして楽しめるか、力に変えられるか。

文=林 亜季 イラスト=ロビン・デービー

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