米国の一部で「極めて重い」EV税導入へ 普及の大きな障壁に

ニューヨーク・インターナショナル・オートショー2019に登場したRivian R1Tピックアップトラック(Miro Vrlik Photography / Shutterstock.com)


CR誌によると、アーカンソー州とワイオミング州の現在の料金は、燃費が1ガロン当たり13マイル(1リットル当たり約5.5キロ)しかないような自動車の所有者が支払うガソリン税と同等だ。提案されている料金の中でも特に高額なのは、ミズーリ州とアリゾナ州だ。両州の提案が実現すれば、同州のEV所有者はそれぞれ、燃費が1ガロン当たり9マイル(1リットル当たり約3.8キロ)、同10マイル(同約4.3キロ)の車を所有する際に支払うガソリン税と同等の税金を課されることになる。

しかも、こうした料金は走行距離(消費した燃料の量)ではなく登録にかかるものであるため、たまにしか運転しないEV所有者にとっては特に痛手となる。さらに、街中を走る自動車全体に占めるEVの割合は非常に小さいため、登録料の引き上げで得られる追加収入は、橋の再建や車道の整備に必要な費用に対して大きな足しにはならない。

EVへの買い替えを妨げることなく、失われたガソリン税の収入を補う方法はあるのだろうか? 一つの選択肢として、車両重量に基づいて登録料を設定することがある。重い車(馬力が大きなピックアップトラックやバス、商業用自動車、大型トラックなど)は、軽い自動車と比べて道路や橋に大きな損傷を与えがちだ。しかし、影響を受ける企業のロビー活動の力を考えると、おそらくすぐには実現しないだろう。

もう一つのアイデアとして、一部の州では自動車の走行距離に基づく「使用税」が検討されてきた。走行距離を特定する方法として、車の自己診断機能「OBD II」に接続する小さなトランスポンダー(応答装置)の収集データを使うことができる。これは、自動車保険企業が走行距離の短く運転マナーの良い人を優遇するために使うものと類似したものになるだろう。

しかし、プライバシーと公平さの問題(都市部と比べ走行距離が長い地方部のドライバーは、燃費が良い高スピードで運転しているにもかかわらず、より高い税を課されてしまう)が存在することで、こうしたプログラムの導入が阻まれているのが現状だ。

編集=遠藤宗生

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