ブルームバーグのデータによると、スナップの株価は現在17ドルで、時価総額は235億ドル(約2.5兆円)近くに達している。同社の株価は、昨年12月に最安値の4.99ドルをつけ、時価総額は72億ドルだった。
競合のフェイスブックやピンタレストらの株価は、今年に入りそれぞれ40%と23%の上昇となったが、株価を3倍以上に伸ばしたスナップチャットには遠く及ばない。
同社の株価の上昇の背景には、直近の四半期の好調な売上と、アナリスト予測を下回る損失額がある。さらに、新たな収益機会と収益性の改善も株価を押し上げる要因となった。
上場以降のスナップはユーザーベースの拡大に苦戦してきたが、ようやく回復基調に乗った形だ。IPO当時のスナップチャットは、新たなフェイスブックの地位を狙っていた。しかし、アピールできるのは若者のみで、大人たちの大半や広告主はスナップチャットを使いこなせなかった。
そして、今から約1年半前から同社は戦略を転換し、若者にフォーカスした機能を増やし、Snap Gamesなどの新たな収益機会を拡大した。一部のアナリストは、同社のゲーム事業が今後の成長を牽引すると述べている。
米リサーチ会社のエバーコアISIのKevin Rippeyは、スナップのゲーム事業が2022年までに毎年3億5000万ドルの売上をもたらすと予測している。ブルームバーグのデータで、ウォールストリートのアナリストらのスナップへの評価は、「買い」が10、「ホールド」が25、「売り」が4となっている。
スナップは今年の第3四半期決算の発表を11月に控えており、その内容が今後の重要な指標となる。7月に発表された第2四半期決算で、スナップの売上は前年比48%増の3億8800万ドルだった。
しかし、ここで気になるのは、スナップが黒字を生み出せていない事だ。第2四半期決算で同社は2億5500万ドルの損失を計上した。前年同期は9800万ドルの黒字だった。フリーキャッシュフローは第1四半期から第2四半期にかけて32%の減少となっていた。
スナップCEOのエヴァン・スピーゲルの保有資産は株価の上昇により、かつての14億ドルから37億ドルにまで増加した。
国際的金融企業サスケハナ・インターナショナル・グループ(SIG)のアナリストのShyam Patilは、スナップの今後の見通しとして、「ショート・タームでは楽観できる」と述べたが、「フェイスブックやツイッターと比較した場合、割高な状態にある」と指摘した。
Patilは、スナップのリスク要因として、インスタグラム等の競合との戦いの激化をあげた。「スナップは主要な顧客である18〜34歳の年齢層にフォーカスし、広告主を魅了し続ける必要がある」とPatilは指摘した。