Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版




正しい成長を実現できるための起業家のエコシステム

サン アスタリスクでスタートアップを支えるのは約20人のメンバー。シードステージ専門で法人化、資金調達に向けたサポートを行う。さらに、その先のステージでの企業支援も得意としており、途中で途切れることなくサポートを続けている。そのカバー範囲はエンジニアに限らず、広報やファイナンスなど、企業が必要な全領域におよぶ。

小林は「『スタートアップスタジオ』という形だけで儲けるつもりはありません。自分たちで投資予算を持っているわけでもないし、最初から協力して最良の成長を実現できれば、成長後に本業とも言えるわれわれの開発リソースを使ってもらいたい」と説明する。実際に、サン アスタリスクにはさまざまな領域の人材がそろっている。

船木は「スタートアップスタジオ」のもう一つの役割について「エコシステムを作ること」と話す。たとえば、同じ役職でも企業のフェーズによって、行うべき業務は変わっていく。だから、そのタイミングに合った人材に協力を依頼する方が合理的である。

「僕のようにある程度の起業経験を経てきた人たちは、自身の知見を可能な限りシェアしたいと思っています。この場所で成長した企業の人たちが今度はサポートする側として『スタートアップスタジオ』に戻ってきてくれたら、スタートアップ業界が活性化する好循環を生み出せると思うんです」

スタートアップが成長するためのノウハウを持つ人材がどんどんと生まれ、また次の世代を育てていく。その循環こそがサン アスタリスクの目指す世界だ。

たったひとつのアプリで都市は変わる

小林がこうした思いを持った原体験には、20代を過ごしたベトナムでの生活があった。「20代の頃には自分だけでは世界は変えられないと感じていました。そんな時、ベトナムでGrab(配車アプリ)が街を変えていく様子を目撃したんです。これまでバイクタクシーが非効率的にダラダラと仕事をしていたにもかかわらず、数カ月のうちに、大勢の人々がGrabの制服を着て機敏に動き回っていた。アプリひとつで世界は変わるということを身をもって感じました」

小林に今後のビジョンを聞くと「ビジョンやアイデアを持つ人、課題を見つけてなんとかしたいと考える人が“諦めなくていい”社会を作ること」と答えた。続けて船木も語る。

「近い将来『スタートアップスタジオ』は当たり前になるでしょう。新規事業を立ち上げる際には当然使うものというような時代がくるはずです。決して、自分たちが市場を寡占しようとは思っていません。いろんなスタジオが出てきて、起業家が幸せになれる時代。まだ誰もやっていないなら、まず自分たちがやり方を見せていこうと思うんです」

誰もが感じた課題感を解決するために、当然の選択肢として「スタートアップスタジオ」を利用する。そこにはあらゆるフェーズのあらゆる業務における専門家と呼べる先輩がたくさんいる。だからアイデアひとつで気軽に乗り込むことができる。そうして、どんどんと社会課題が解決されていく。そんな理想の社会は、そう遠くない将来に実現するのかもしれない。

文・写真=角田貴広

PICK UP

あなたにおすすめ