魁であれ。変革の時代を生き抜くルール


それを避けるために、大手と比べて施主の顔が見えやすい比較的小規模なビルダーを中心に商品を出しています。そのおかげもあって、現在、当社の顧客の40%は新規契約のお客様で、そのうち9割近くが施主からの直接指名です。私たちがかつて行っていたような下請け業では施主に直接会うことはまずありませんから、大きな変化といえるでしょう。

伊藤:以前、神谷さんと一緒に商品開発をさせていただいたときにはそのスピードにも驚かされましたが、どのような施策をされているんですか?

神谷:大きな特徴は商品開発時に必須といわれる「仕様書」がないことでしょうか。他社では当たり前に仕様書の用意からスタートしますよね。私たちの考えとしては「仕様書を作りあげていく過程こそが開発」なんです。



極端なことを言うと、最初は思いつきでいい。お客様はこんなものを求めているんだ、というところからスタートして、営業が誇りを持って売りに行ける商品をつくることこそが“売れる”商品開発だと考えています。幸い、うちは環境試験室や、各試験棟も本工場の敷地内にありますから、アイデアがあるなら翌週の会議までに作るよう指示しています。業界ルールに縛られて動きが鈍くなっている企業は多いですが、スピードのない開発には意味がないんですよ。

伊藤:なるほど。実際に一緒に商品開発をしたときは1カ月弱という短期間でプロジェクトが動き、こちらがついていけなくなりそうなほどのスピードに驚いたのですが、やはりスピード感をとても重視されているんですね。

神谷:スピードという観点ではもうひとつあり、うちには「商品開発部」という部署を置いていません。社内全体で「商品開発プロジェクト」という形をとって、あらゆる部署の社員をメンバーとして、常に動いてもらっています。本当にお客様が求めているものは何なのか、いま何が必要なのかを考えながら、営業はもちろん基礎開発、ブランディングなど、いろいろな立場や視点から関わってもらいつつ、商品をつくっているんです。

伊藤:大企業には必ず商品開発部がありますね。考えてみれば、会社としてはつくることが目的ではなくつくって売るまでが目的ですし、売れる商品を考えられるのは開発部の人材に限らないと言うことですね。ブランドができたことで、経営に変化はありましたか?

神谷:キャッシュフローが変化しました。この業界では手形決済やサイト取引きが一般的な取引方法ですが、私は東南アジアの国々で見てきた「キャッシュ ビフォア デリバリー」を導入しているんです。

伊藤:つまり、納品後ある期間を置いての支払いではなく、注文即入金をしてもらってから納品するということですね。これは日本でも通用するのでしょうか?

神谷:最初はやはりブローカー体質の問屋からは激しい抵抗を受けました。ただ、しっかりとした仕事をされている問屋さんや商社の方からは逆に支持され、何よりもビルダーさんからは大変喜ばれました。そんなスタイルで売るのはうちだけですからね。今では確固たるブランドの力で信用も得られていますし、売上の約6割が先にお支払いをいただいてからの納品で取引できるようになっています。

文=伊藤嘉明

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