今年7月にグーグルは、グーグルアシスタントに入力された音声の録音を「社外の専門家」が聞き、テキスト化していることを認めていた。対象となったデバイスは「Google Home」などのスマートスピーカーだったが、アマゾンやアップルらも同様の問題で、世論の非難を浴びていた。
アマゾンは既に対策を講じ、ユーザーがデータの消去を求める機能を追加した。アップルも同様の措置をとり、外部企業とデータを共有しないと宣言した。
「当社はこれまで、音声アシスタント経由のデータ収集ポリシーを明確にしてこなかった。ユーザーに対し謝罪したい」とグーグルアシスタントの担当幹部のNino Tascaは公式ブログで述べた。
グーグルは既に、外部の人員による音声データの書き起こしを停止していた。これは、ドイツのデータ保護局が調査を開始し、グーグルを非難したことを受けてのものだった。
しかし、グーグルは利用者が「Voice & Audio Activity(VAA、日本では「音声アクティビティ」)にオプトインした場合に限って、人間による録音データのレビューを今後も継続すると述べている。音声の録音は、ユーザーがオプトインしない限り有効にならず、オプトインする際には、「録音を人間が聴く可能性がある」ことを明示するようにするという。
Tascaによるとグーグルは、グーグルアシスタントが収集するデータのセキュリティを高め、ユーザーを保護する機能を増強するという。
「当社はユーザーのデータ保護が非常に重要であると考えており、今後も機能の改善を進めていく。ユーザーが意図しないアクティベーションが起こった場合、それを検知する仕組みを導入し、音声データが人間に聴かれることを防止する」とTascaは述べた。
「間もなく導入する新機能では、グーグルアシスタントが『Hey Google』などの起動ワードを聞き取る感度をコントロール可能にし、誤認識によるデバイスの起動を防止する。この機能は、ノイズの多い環境でデバイスを使用する場合にも役立つことになる」とTascaは続けた。
この新機能がどのようなメリットを利用者にもたらすかは、現時点では分からない。大半のユーザーはデフォルトの設定のまま、デバイスの利用を続けるだろう。しかし、今回の措置はグーグルが、欧州などの規制当局から浴びせられる厳しい非難の声に反論する上で、一定の材料にはなりそうだ。