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職業の衰退

分析結果では、スキルの需要が下がることでキャリアを通じた収入に影響が生じたことが示された。28年間での収入の減少幅は2〜5%で、大部分は仕事をする時間が減ったことによるものだが、再訓練プログラムに使われた時間の関連コストも一因となっていた。

しかしよくあることだが、皆が均等に悪影響を受けていたわけではなかった。失業前の収入が低い人ほど、キャリアを通してより大きな損失を被る傾向にあり、そうした人のキャリアを通じた収入は最大で11%下がり、訓練や失業中の期間も他の人より長かった。

「このモデルでは、衰退する職業の底辺にいる人は他の職業に就いても収入を得る能力が低いため、同じ職業でも他の職業でも再就職先を見つけにくい」と研究チームは説明している。

職業間の可動性の重要さ

この分析結果は、特定の職業が衰退を始めた際の損失緩和には職業間の可動性が重要となることを改めて浮き彫りにしている。職業が破壊されている人が、その他の分野で働く人と比べてその仕事に残りにくいのは当然のことだが、異なる職業の間を移動するプロセスは決して直線的なものではない。

現代の労働者の失職に関する議論の多くは、テクノロジーを主な論点としている。しかしこの論文は、技術破壊と、経済的・社会的破壊の違いはほとんどないことを示している。労働者のキャリアにもたらされる影響は全ての例で非常に似通っていて、職業の衰退による影響は工場の閉鎖など急な雇用の喪失の影響に比べて限定的だ。職業の衰退はもともとゆっくりと起きるものなので、多くの人が準備できていない中いきなり訪れる工場閉鎖の衝撃よりも、労働者が効果的に順応できることが理由だろう。

しかし、破壊に備えることの効果は限定的だということを示すものは多くある。スウェーデンと米国の労働市場は非常に異なるにもかかわらず、職業の衰退による影響はどちらの国でも一貫していた。これは、それぞれの国で、破壊のリスクを緩和しようとする試みが人々のキャリアへの影響の緩和に概して失敗していることを示している。

職業を失うことがキャリアを通じた収入に与える影響は比較的少ないものの、安心するべきではないと研究チームは警鐘を鳴らす。現代のテクノロジーは過去よりも高速に変化しているため、破壊もより迅速に起きる可能性があるからだ。また、成功するためのスキル開発に大きな投資が行われた職業も破壊される可能性があり、その場合は同じような収入レベルを維持する代替の雇用を見つけるのが困難になるかもしれない。

研究チームは「こうした労働者が職業の衰退に直面しているとき、労働者の生産性を保つよう支援することが今でも政府にとって重要な課題だ」と結論づけている。

私は、どの政府もこの課題をこなすどころか、受け入れてさえいないと感じる。しかし、第4次産業革命によりもたらされる破壊の規模が、たとえ革命推進者の予測の半分のみになるとしても、政府は早いうちにこの課題に取り組まなければならない。

編集=遠藤宗生

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