フェイスブックが数万点のアプリを「利用停止」にした理由

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フェイスブックは9月20日、2018年春に発覚した英ケンブリッジ・アナリティカによるデータ流出問題を受けて開始した社内調査の中間報告を発表し、数万点の外部企業によるアプリを使用停止にしたとアナウンスした。

これらのアプリはフェイスブックにログインした利用者の個人情報を収集するもので、約400社の外部企業が開発していた。フェイスブックによると、使用停止の理由は様々で、これらのアプリの全てが利用者に脅威を与えていた訳ではないという。

また、今回の措置を受けたアプリの多くは、情報の収集方法に関するフェイスブックからの情報開示要請に返答を行わなかったため、この措置を受けたという。さらに、これらのアプリの多くはテスト版で、一般公開される以前の状態だったという。開発者がまずテスト版を作成するのは、アプリの公開にあたっての通常の手順とされている。

フェイスブックは以前、プライバシー規約に違反したアプリを全面禁止にしており、そこには外部企業や研究者とデータを共有したmyPersonalityと呼ばれるアプリが含まれていた。

ケンブリッジ・アナリティカによるスキャンダルの発生以降、フェイスブックは外部企業のアプリに対する査察を進めてきた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によると、ケンブリッジ大学の研究者のアレクサンドル・コーガンは、フェイスブックで公開された性格診断クイズアプリから収集したデータを、政治関連のターゲティング広告を販売するケンブリッジ・アナリティカに、利用者の同意を得ずに提供していたという。

フェイスブックによると、アプリ開発企業に対する調査は現在も進行中で、将来的にさらに多くのアプリが使用停止措置の対象になる可能性もあるという。同社は今年7月に米連邦取引委員会(FTC)からプライバシー保護問題で、50億ドル(約5400億円)の制裁金を科され、年に1度、外部のアプリ企業のコンプライアンス遵守状況についての報告書の提出を義務づけられている。

フェイスブックは外部企業のアプリの調査を進め、その内容を開示しているが、フェイスブック自身がどれほどの個人情報を収集しているかについては、明らかにしていない。ただし、フェイスブックは最近になって利用者が、同社による個人情報の収集に一定の制限をかけられるツールを新たに導入していた。

編集=上田裕資

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