ビル・ゲイツは1995年、著書の中でそう述べていた。それは、DNAを読み、書き、編集することに焦点を当てる「合成生物学」によって、生きた細胞がプログラムされるようになるずっと以前のことだ。
だが、テクノロジー企業の創業者である富豪のうち、ビット(二進法)とバイオロジー(生物学)に類似点を見ているのはゲイツだけではない。同様にテクノロジーで富を築いたその他の多くのテック企業の創業者たちも、これから富豪になると見込まれるバイオテクノロジー企業の創業者たちに投資している。
バイオテック業界が過去10年間で調達した金額は、123億ドル(約1兆3260億円)を超えた。昨年は関連企業98社が合計38億ドルを調達した。
合成生物学に関わる企業は、農業から医学、細胞を培養して作る代替肉まで、ほぼ全ての産業を「破壊」している。遺伝子組換え微生物はより持続可能性の高い生地の生産を可能にし、排出された二酸化炭素のリサイクルは、バイオ燃料の生産につながっている。
投資は「恩送り」
合成生物学の並外れた汎用性と、生物学はコンピューターのようにプログラミング可能なものだという概念が、次世代の起業家たちに「ペイフォワード(Pay it Forward、恩送り)」したい多くの投資家たちを魅了してきた。
合成生物学に携わる企業に多額を投資していているゲイツ以外のテック業界の大物には、次の人たちがいる(かっこ内は設立したベンチャー・キャピタルと主な投資先)。
・エリック・シュミット/グーグル元CEO(イノベーション・エンデバーズ:遺伝子を組み替えて微生物を生産するZymergenや合成シルク・合成レザーを菌類から開発するBolt Threadsなど)
・ピーター・ティール/ペイパル共同創業者(ファンダーズ・ファンド:遠隔操作での実験を可能にしたEmerald Cloud Labなど)
・ビノッド・コースラ/サン・マイクロシステムズ共同創業者(コースラ・ベンチャーズ:ピペット操作を行うロボットを開発するOpentronsなど)