9月19日のCNNのインタビューで、ユニクロ運営元のファーストリテイリングCEOの柳井はブレグジットに関する懸念を示した。柳井は「仮にブレグジットを実行した場合、英国はマーガレット・サッチャー政権以前の時代に逆戻りすることになる」と述べた。サッチャーが首相に就任した1979年以前の英国経済は、停滞期にあった。
「当時の英国はヨーロッパの病人と呼ばれていたが、私はその状況が再び起こることを危惧している」と柳井は述べた。
「ブレグジットは事実上不可能だ。なぜなら英国の古い国境は複雑で、北アイルランド問題やスコットランド問題もある。英国政府がEUからの離脱を望んでも、それを実現するのは難しい」
東京証券取引所に上場するファーストリテイリング創業者の柳井は現在70歳で、彼とその家族は同社の株式の44%を保有している。柳井の推定保有資産は300億ドルを超えており、日本で最も裕福な人物として知られている。
ユニクロはここ数年、英国で苦戦中だ。ファーストリテイリングは2000年代初頭、英国でのユニクロの店舗数拡大の野心的プランを描いていたが、2003年には16店舗を閉鎖し、現在は11店舗となっている。
9月3日、ファーストリテイリングが発表したユニクロの8月の月次販売動向で、日本国内の既存店売上高は前年同月に比べ9.9%増だった。しかし、アジアでの売上が好調な一方で、米国市場進出は計画通りには進んでいない。柳井は2011年に、米国で200店舗のユニクロをオープンさせる目標を掲げたが、現状では約50店舗に留まっている。
柳井の今回の発言は、英国のエリザベス・トラス国際通商相が東京を訪れ、英国と日本の経済関係の強化を呼びかけたタイミングと重なった。英国はEUと離脱条件の合意のないまま、10月31日に離脱に踏み切る可能性がある。
英国政府によると、EU離脱後も日本は英国にとって最大の出資国の1つであり続けるという。昨年の日本の対英投資額は約370億ドル(約4兆円)に及び、英国では約1000社の日系企業が15万人以上を雇用している。
日英の経済連携の強化を目指すトラスは次のようにコメントした。「今後の日英のビジネスの見通しは明るい。なぜなら、日英の政府は可能な限りすみやかに、新たな自由貿易協定の締結に向けての交渉を開始する強い意志を持っているからだ」