ビジネス

2019.09.24

競合サービス同士が手を組んで、資金調達プロジェクトを始めるワケ

(左)ヘイ代表取締役社長の佐藤裕介 (右)BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太


佐藤:今やスマートフォンが当たり前になり、スマートフォンで全てのことを済ませる人が出てくる時代になっています。もちろんShopifyも素晴らしいサービスですが、変化の流れが早くなっている時代において、後発で市場に参入し、サービスを展開している僕たちの方が現在の常識の中で一番使いやすいものを提供できる可能性があると思います。

Shopifyと同じ文脈でサービスを展開していくのは大変なので、僕たちは僕たちで信じる未来に向けて、ショップオーナーさんがより使いやすいサービスを提供していく。

ビジネス効率を考えると、どうしてもお店の月間販売実績を見てしまい、全体の流通の大部分を占めているパワーセラーを優先してしまいがち。でも僕や鶴岡さんは、数を信じている。アクティブストアがどれだけ積み上がっているかが何より重要なんです。その意味において、今回のBASEとの共同プロジェクトはとても意義のあるものだと思います。

大企業だけが持っている特権をなくしたい

鶴岡:これは時代の変化のおかげなんですよね。昔は今ほどインターネットが普及していなかったですし、スマートフォンを持っている人が多くなかったので、理想を追求しきれなかった。それ故に売上側に逃げた方が安全だった。

ただ僕や佐藤さんの年代以降は、理想を追求してもビジネスが成立するくらいインターネットが進化してくれた。そのおかげで、理想を追求する人が増え、年々、その人たちの可能性は広がっていっている。すごく恵まれた時代にサービスを提供できているなと思いますし、20年前までには想像もできなかった世界だと思います。

佐藤:新しいチャレンジが増えれば増えるほど、僕たちにとっては長期において理想を実現するために良いことだと思っています。例えば、今回NO CAPITALでみなさんの挑戦を支援するために必要な資金は、楽天でお店を持っている人に資金を渡して「引っ越してください」って言った方が短期のビジネスにおいては効率がいい。でも大事なのはそこじゃない。

それよりも挑戦する人たちのハードルを下げる。「インターネットでお店を持つのに最初に大きな経済的リスクをとるのが嫌だ」という人たちのためにBASEかSTORES.jpのようなサービスがあると思いますし、それ以外にも商売を始めたり、続けたりしていく上でハードルに感じる課題はまだあると思うので、それを一つひとつ潰していきたいと思います。


佐藤もインターネットの掲示板を通じて人助けをし、感謝されたことでインターネットの可能性を感じたという。アロハシャツに関して「全然キャラに合ってないですね(笑)。もともと隠キャなので」と語っていた。

鶴岡:豊富な資金のある大企業だけが持っている特権みたいなものはなくしてあげた方がいいですし、スモールチームが必要とするものにいつでもアクセスできる環境を用意しておくことが大事だと思うんです。

佐藤:そうですね。使う、使わないかは置いておいて。

鶴岡:今回は偶然、ファイナンスに関する取り組みでしたが、STORES.jpさんがやっているオフラインでのポップアップストア出店の支援もそうですし、今まで出来なかったことが出来るようになる。それが重要なことだと思います。

NO CAPITALという仕組みを使う、使わないは強制する時代じゃないですし、プラットフォームとしてはやりたいことがあった時に、実現できるような環境を用意しておくことが大事。このプロジェクトを通じて、“インターネットで自分たちが強くなっていく”というメッセージを感じてもらえたら嬉しいですね。

文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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