ビジネス

2019.09.24

競合サービス同士が手を組んで、資金調達プロジェクトを始めるワケ

(左)ヘイ代表取締役社長の佐藤裕介 (右)BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太

ネットショップ作成サービスを展開するBASEとストアーズ・ドット・ジェーピー。この2社が手を組み、共同で資金調達プロジェクトを開始するという──。

「BASE」を手がけるBASE、「STORES.jp」を手がけるストアーズ・ドット・ジェーピーの2社は9月24日、「自由に好きなモノをつくって、販売したい。アイディアはある、でも資金がない。」という人々の挑戦に寄り添う、リスクの無い資金調達プロジェクト「NO CAPITAL」を共同で開始することを発表した。

このプロジェクトは、応募した個人やスモールチームの将来の売上金額を予測し、BASEかSTORES.jpがブランドオーナーから将来の売掛債権を買い取るというもの。買い取った金額がブランドオーナーに支払われるため、ブランドオーナーは将来の売上をいま、利用することができるようになる。

NO CAPITALを通じた資金調達で、ブランド側に発生するリスクはない。ブランドの商品が購入される度に、売上から一定の支払率に応じた金額がBASEもしくはSTORES.jpに支払われる。そのためブランドオーナーは支払いを気にすることなく商品制作に集中できる。



また支払いは、商品が売れた時のみ発生するもので、売上が無かった月などはブランドオーナーの支払いは一切発生しない。NO CAPITALを通じてブランドから買い取った将来債権が万一発生しない場合には、そのリスクをBASEもしくはSTORES.jpが負担してくれる。

BASEは2018年にリスクなし、即時に資金調達できる金融サービス「YELL BANK」を展開しているが、なぜ今回、共同で資金調達プロジェクトを始めることにしたのか。

BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太、そして決済事業を手がけるコイニーとストアーズ・ドット・ジェーピーが経営統合して誕生したヘイ代表取締役社長の佐藤裕介に話を聞いた。

一緒にやった方が市場が早く成長する

鶴岡:一般的にBASEとSTORES.jpは競合サービスだと思われています。実際、競合の側面があるのは事実ですが、僕はお互いの会社が見据えている未来、実現したい世界は同じだと思っていて。だからこそ、佐藤さんとは定期的にお会いして、話をしています。

佐藤さんと会って話をする中で、「お互いに競合ではあるけど、個人やスモールチームのポテンシャルはまだまだ可能性がある。個々でがんばっていくのも大事だけど、一緒にやった方がより早く個人やスモールチームを成長させられるのではないか」という話になっていったんです。それで資金調達プロジェクト「NO CAPITAL」を始めることにしました。
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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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